テニスの4大大会の一つである全仏オープンは例年5~6月に行われていたのですが、今回は新型コロナウイルス感染拡大の影響で9~10月開催となりました。大坂なおみ選手が優勝した8~9月の全米オープンは無観客試合でしたが、全仏オープンは人数制限のうえ観客を入れていました。パリは札幌よりも緯度が高く、この時期はかなり寒いようです。赤土は球足が遅くなるのに、とりわけ今年は今ひとつの天気でさらに遅くなったのではないでしょうか。そのためにビッグサーバーや強烈なストロークをする選手は不利になり、小技が利く選手や守備力の高い選手が有利になります。毎年のことですが、全仏オープンではランキングの低い選手がシードを倒して勝ち上がってくることがあります。

 私の印象に残ったのは男子シングルスのシュワルツマン選手(全仏前の世界ランキング14位、アルゼンチン)と、ガストン選手(同239位、フランス)の2人です。どちらも小柄な選手で、ガストン選手は全米で優勝したティエム選手(同3位、オーストリア)を追い詰めました。シュワルツマン選手もナダル選手(同2位、スペイン)に善戦しました。このようにテニスの4大大会は、全仏が赤土、全英が芝、全米と全豪がハードとコートの素材が違うので4大大会を制覇するグランドスラムは大変なことです。

 前立腺がんが見つかって、全身の骨に転移していることがわかった時点で私は長年していたテニスを諦めざるを得ないと思いました。一般的な医学常…

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石蔵文信

大阪大学招へい教授

いしくら・ふみのぶ 1955年京都生まれ。三重大学医学部卒業後、国立循環器病センター医師、大阪厚生年金病院内科医長、大阪警察病院循環器科医長、米国メイヨー・クリニック・リサーチフェロー、大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻准教授などを経て、2013年4月から17年3月まで大阪樟蔭女子大学教授、17年4月から大阪大学人間科学研究科未来共創センター招へい教授。循環器内科が専門だが、早くから心療内科の領域も手がけ、特に中高年のメンタルケア、うつ病治療に積極的に取り組む。01年には全国でも先駆けとなる「男性更年期外来」を大阪市内で開設、性機能障害の治療も専門的に行う(眼科イシクラクリニック)。夫の言動への不平や不満がストレスとなって妻の体に不調が生じる状態を「夫源病」と命名し、話題を呼ぶ。また60歳を過ぎて初めて包丁を持つ男性のための「男のええ加減料理」の提唱、自転車をこいで発電しエネルギー源とする可能性を探る「日本原始力発電所協会」の設立など、ジャンルを超えたユニークな活動で知られる。「妻の病気の9割は夫がつくる」「なぜ妻は、夫のやることなすこと気に食わないのか エイリアン妻と共生するための15の戦略」など著書多数。