賢い患者

新型コロナ 市民の相談から見える医療への影響

山口育子・認定NPO法人「ささえあい医療人権センターCOML」理事長
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 新型コロナウイルスの影響で、世界中の人が1年前には想像もしなかったような「日常が失われる」体験をしました。多くの国や地域ではさらに感染が拡大していたり、いまなお継続していたりして、深刻さを増しています。日本では欧米諸国と比べ、感染者数も死亡者数も少なく抑えられてきましたが、確たる理由は判明していません。影響はいつまで、そしてどこまで広がるのか分からず、多くの人が不安を感じているのではないかと思います。その不安は、あろうことか、感染者や感染者を出した施設、医療従事者への差別や誹謗(ひぼう)中傷にまで発展し、冷静さを欠いた事象もみられます。

 私は認定NPO法人「ささえあい医療人権センターCOML」(コムル、と読みます)のスタッフで、2011年8月から理事長を務めています。COMLは、患者が自立・成熟して主体的に医療に参加できるようになることを目指す認定NPO法人で、医療に関し一般市民から電話での相談を受けることを活動の柱にしています。新型コロナの感染が広がりだしてからも、私自身たくさんの相談に対応しました。今回はそうした相談の一部を…

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山口育子

認定NPO法人「ささえあい医療人権センターCOML」理事長

やまぐち・いくこ 1965年、大阪市出身。89年大阪教育大卒業。92年秋から「ささえあい医療人権センターCOML(コムル)」のスタッフとして、患者からの医療に関する電話相談を受け、COMLの活動全般の運営に携わってきた。2002年から同専務理事兼事務局長、11年から理事長。著書に「賢い患者」(岩波書店、2018)