この連載の初回にお話ししたように、今年の2月に前立腺がんの全身転移が見つかりました。昨年の暮れごろから体調が悪く、食欲が全くありません。しかし、請け負った講演会がたくさんあったので、無理やり栄養のある食べ物を詰め込んでいましたが、最後のほうはヨーグルトのようなさっぱりしたものしか受け付けませんでした。

 あまりにも体調が悪いので、今年の初めから勤務先の病院でいろいろと検査をしていましたが、これという原因が見つかりません。結局、最終的に全身のコンピューター断層撮影(CT)検査で前立腺がんがわかりました。実は検査当日に自分でCT画像を見たのですが心臓や肝臓などの内臓はしっかりと見たつもりが、前立腺や骨まで気が回らずに見落としていたのです。後日、放射線科の医師から所見を送っていただいて、前立腺がんが判明しました。さすが専門家ですね!

 2月ごろは食欲が極端に落ちて、7キロほど体重が落ちました。さすがの私も余命は少ないと覚悟しました。3月上旬、丸一日の検査入院した後にホルモン治療が始まりました。全身に転移があるため、手術や放射線治療は行われず、ホルモン治療以外の選択肢はありません。前立腺がんは専門外ですが、「ホルモン治療の効果がなければ、かなりやばい」ということは理解していました。前立腺がんの指標であるPSAは4.0ng/ml以下が正常ですが、最初の検査では2000ng/…

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石蔵文信

大阪大学招へい教授

いしくら・ふみのぶ 1955年京都生まれ。三重大学医学部卒業後、国立循環器病センター医師、大阪厚生年金病院内科医長、大阪警察病院循環器科医長、米国メイヨー・クリニック・リサーチフェロー、大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻准教授などを経て、2013年4月から17年3月まで大阪樟蔭女子大学教授、17年4月から大阪大学人間科学研究科未来共創センター招へい教授。循環器内科が専門だが、早くから心療内科の領域も手がけ、特に中高年のメンタルケア、うつ病治療に積極的に取り組む。01年には全国でも先駆けとなる「男性更年期外来」を大阪市内で開設、性機能障害の治療も専門的に行う(眼科イシクラクリニック)。夫の言動への不平や不満がストレスとなって妻の体に不調が生じる状態を「夫源病」と命名し、話題を呼ぶ。また60歳を過ぎて初めて包丁を持つ男性のための「男のええ加減料理」の提唱、自転車をこいで発電しエネルギー源とする可能性を探る「日本原始力発電所協会」の設立など、ジャンルを超えたユニークな活動で知られる。「妻の病気の9割は夫がつくる」「なぜ妻は、夫のやることなすこと気に食わないのか エイリアン妻と共生するための15の戦略」など著書多数。