医療プレミア特集

患者と医療機関との関係性を高めるオンライン診療

医療プレミア編集部
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インタビューに応じる豊田剛一郎氏=2020年10月28日、阿部亮介撮影
インタビューに応じる豊田剛一郎氏=2020年10月28日、阿部亮介撮影

 政府が恒久化する方針を打ち出しているオンライン診療のシステムを早くから手がける「メドレー」代表取締役の豊田剛一郎医師が毎日新聞の取材に応じた。新型コロナウイルスの影響で、オンライン診療を導入する医療機関は大幅に増えており、豊田氏は「患者に寄り添う一つの選択肢として伝え続けてきた結果だ」と話す。一方で、日本医師会などが主張する「対面診療の原則」については、「オンライン診療は補完的なもので、対面診療が原則というのは当たり前」と述べた。条件付きで、オンライン発熱外来の設置の取り組みも進めている。【くらし医療部・阿部亮介】

――医師を辞めて、メドレーに入社した経緯を教えてください

 ◆2015年2月にメドレーに入社したのですが、その前は脳外科医として4年ぐらい臨床現場で働いていました。臨床現場にいる医師として医療制度のひずみがどんどん大きくなっていくのを感じていました。

 財政は悪化し、医師は過重労働になる一方、高齢者は増え続け、検査や治療の料金は上がっていき、その種類は増えてやることも増える。「効率化してきている」と言われますが、それでも「臨床現場は無駄が多すぎる」と感じていました。効率化も忙しくてなかなかできない。そうしているうちに、日本全体でみると、(医療従事者や医療機器などの)医療資源を利用する人は増えますが、少子高齢化で財政を支える人はどんどん減っていく。

 例えると、社会保障制度という日本の船は豪華客船として走っているのですが、水漏れしてどんどん沈んでいる。しかし、乗客はうっすら気付いているものの何もできず、ずうたいばかり大きくて方向転換もままならない。そんな感触を臨床現場の医師として受けました。このまま船が沈まず、乗っている人も困らない役割をしたい、と思うようになったのが、医師を辞めて、メドレーに入社したきっかけです。

――臨床現場にいたら日本の医療制度を変えるのは難しいですか

 ◆そうですね。医療現場にいたら何よりも優先すべき患者さんの存在もありますし、あまりのスピードで日々が過ぎ去るので、私には無理だと感じました。私は今、36歳ですが、医療現場にいたらまだ若手医師に過ぎません。医療制度に関わるような大きな仕事は医療現場にいたらできない。だから、臨床現場を出るしかないと思いました。

――メドレーがオンライン診療の分野に進出したきっかけはどういうものだったのでしょうか

 ◆入社して以来、患者の受療行動をどう変えるか、患者と医療との向き合い方をどう最適化したらいいか考えていました。それで医療情報メディアを立ち上げました。入社して半年後の15年8月に、厚生労働省がオンライン診療を事実上、全国で実施可能とした通知を出しました。この通知は医療分野に大きな変化を与えるんじゃないかと思いました。当時はオンライン診療を遠隔診療と呼んでいたのですが、社内には遠隔診療の「え」の字もなかったのですが、患者の受療行動を変える可能性があるものとして、会社として取り組むことになりました。16年2月に患者と医療機関をつなぐオンライン診療のシステム「CLINICS(クリニ…

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