新型コロナウイルスの感染の広がりを受け、厚生労働省に対策を助言する専門家組織「アドバイザリーボード」が11日開かれ、現状の分析や感染状況の評価を行った。会議終了後、座長の脇田隆字・国立感染症研究所長が記者向けに解説した。脇田氏への質疑を中心に記者とのやりとりを詳報する。【くらし医療部・阿部亮介】
多様化するクラスター
――感染が増加傾向になったのは10月終わりから11月初めに多くの人が感染したからか。ハロウィーンのイベントがある時期だったが、増えた要因は。個人の感染対策が緩んできているのか。改めて徹底する手立ては。感染拡大のスピードが増している地域はどこか。
◆感染が増加傾向になったのは、エピカーブ(流行曲線)をみると、9月あたりはかなり減少傾向からフラットになり、そして増加傾向になっている。発症日と確定日をみると多少違いがある。確定日だと10月に入ってから徐々に増加傾向にある。必ずしも10月の終わりから増加傾向が始まったわけではないと理解している。それまでの感染拡大については、7、8月は大都市の繁華街、歓楽街を中心にしたところがかなり(増加)要因になっていた。しかし、この10月以降のフェーズになると、クラスター(感染者集団)での感染は続いていると考えているが、それが多様化しているという議論があった。歓楽街だけでなく、会食、職場、家庭、外国人のコミュニティー、医療機関、福祉施設、さまざまなクラスターが報告されている。特定のイベントが主な要因というよりも、さまざまなクラスターの発生が感染拡大の要因と考えている。そういった議論だった。
それぞれのクラスターには感染拡大する要因があるということで、分析をして対策につなげることが必要だという議論があった。地域によってはこれまでほとんどクラスターの発生がないようなところで新しく発生するとその対応が遅れることが今回見られている。
準備をしていただくということは重要だ。公衆衛生対応、医療提供体制の準備が重要だが、ご質問のように、個人個人の感染対策は最も重要なところだと思う。改めて強調したいということで、基本的な感染予防対策の徹底をお願いしている。公衆衛生対応に関しても、今…
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