医療の本音

「検査で全てがわかる」は妄想

松本尚・日本医科大学救急医学 教授
  • 文字
  • 印刷

 転んで頭を打ったという幼児が受診してきました。意識はしっかりしていて手足の動きにも問題はありません。「24時間、明日の今頃まで注意深く様子をみて、問題がなければ大丈夫でしょう」と話すと、お母さんは不服そうに「コンピューター断層撮影(CT)は撮らないんですか」と質問してきます。

 こちらは、医学的にはその必要性が無いこと、CTの被曝(ひばく)量は普通のレントゲン撮影よりも大きいことなどを説明しますが、「何かあったらどうするんですか」と。医療には「絶対」とか「100%」はあり得ませんから、こう言われると自己防衛のため、ほとんど結果のわかっているCTをすることになります。

この記事は有料記事です。

残り818文字(全文1105文字)

松本尚

日本医科大学救急医学 教授

まつもと・ひさし 1962年生まれ。1987年金沢大医学部卒業。金沢大医学部附属病院 救急部・集中治療部講師、日本医科大救急医学准教授などを経て2014年4月から現職。日本医科大学千葉北総病院救命救急センター長であり、印旛地域救急業務メディカルコントロール協議会会長などを務めている。専門は救急・外傷外科学、救急医学、災害医学、消化器外科学、経営管理学。