先月末、「コロナとがん――リスクが見えない日本人」(海竜社)を出版しました。新型コロナウイルスのまん延の背景には、人口の急増が大いに関係しているはずです。

 がんと人類は周囲の環境を破壊しながら増殖を続ける点で似ています。がん細胞は患者の栄養分を横取りしながら数を増やし続け、患部が手狭になると、別の臓器に転移します。人類も増え続けています。わが国は少子化に悩んでいますが、世界的には人口爆発が進んでいます。現在の…

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東大大学院医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1985年東京大医学部卒。スイス Paul Sherrer Instituteへ客員研究員として留学後、同大医学部付属病院放射線科助手などを経て、2021年4月から同大大学院医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。同病院放射線治療部門長も兼任している。がん対策推進協議会の委員や、厚生労働省の委託事業「がん対策推進企業アクション」議長、がん教育検討委員会の委員などを務めた。著書に「ドクター中川の〝がんを知る〟」(毎日新聞出版)、「がん専門医が、がんになって分かった大切なこと」(海竜社)、「知っておきたい『がん講座』 リスクを減らす行動学」(日本経済新聞出版社)などがある。