心の天気図

勇気を持って声かけを

佐々木 司・東京大学教授・精神科医
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 我が国の自殺者数は、昨年まで10年にわたり減少してきたが、今年後半から増加の兆しがある。10月には昨年同月の4割増に達した。増加は女性で顕著であったほか、児童生徒でも大きく増加した。憂慮すべき状況である。

 メンタルの他の不調と同様、自殺のリスクも見ているだけでは気付かないことが多い。学校の場合なら、担任や保健室の養護教諭などが、普段から子どもたちの様子を見守っている。にもかかわらず「まさかあの子が」という生徒に死なれ、落胆することもまれでない。

 メンタルの問題では、「もうダメだ」「死にたい」といった切羽詰まった状態になるまで、本人が不調を自覚できないこともある。さらに困るのは、そんな状態になっても助けを求めない人が多いことだ。「自分のことだから自分で解決しなくては」と思い込んだり、「話しても解決できない」「死にたいなんて言ったら相手に迷惑だ」「恥ずかしい」と考えたりして、誰にも相談できない人が少なくない。

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佐々木 司

東京大学教授・精神科医

東京大学医学部医学科卒。東大病院、財団法人神経研究所晴和病院での勤務を経て、トロント大学クラーク精神医学研究所に留学。帝京大学医学部講師などを勤め、2008年に東京大教授。生活習慣や環境的諸要因と「こころと体」の健康との関連の解明、学校精神保健教育プログラム開発などを進め、英文国際誌を中心に成果を発表している。日本不安症学会理事長、日本学校保健学会常任理事。一般向け著書としては「その習慣を変えれば『うつ』は良くなる!」、共著に「精神科医と養護教諭がホンネで語る 思春期の精神疾患」