デンマークでも公共の場ではマスク着用が義務付けられるようになった=オーデンセ市のショッピングセンター「ローセンゴーセンター」で2020年11月24日、加藤幸夫氏撮影
デンマークでも公共の場ではマスク着用が義務付けられるようになった=オーデンセ市のショッピングセンター「ローセンゴーセンター」で2020年11月24日、加藤幸夫氏撮影

 新型コロナウイルスの“第3波”ともいわれる感染拡大が日本全国で起きています。札幌市に暮らす筆者も、周辺でクラスターが起きたり、勤務校の学生が感染したりするなど、新型コロナの存在が身近に感じられるようになってきてしまいました。しかし、春ごろと比べれば、感染者への対応にパターンが生まれており、いい意味で慣れてきている感じもします。たとえば、勤務校では少しずつ、遠隔授業から対面授業に戻しつつありましたが、学生の感染を受けて、実習のような特別なもの以外は再び遠隔授業に戻りました。

デンマークで多いPCR検査

 デンマークにおいても、新型コロナは再び活動を活発化しています。国立血清研究所のサイトによれば、11月22日の時点で、1日にPCR検査を受けた数が5万8018人。そのうち、感染が判明した者が850人となっています。人口が約580万人ですから、人口約1億2000万人に対して1229人(11月24日)という日本の現状に比べれば圧倒的に感染率が高いといえます。

 日本人ほどマスク慣れしていなかったデンマーク人(そのほかの外国人も慣れてはいなかったでしょうが……)は、最近までマスクには消極的でした。

 「誰も外から汚れて入ってこようが、せきをしようがおかまいなし。マスクも手洗いもほとんどしていませんでした」

 日本人の知人は、コロナ禍の中でも変わらないデンマーク人の子供の行動様式に驚いていました。しかし、筆者は10年間のデンマーク滞在経験からすれば、デンマーク人のこれまでの衛生への概念はそんなものかなとは思います。

 「マスクをしていることは、自分が危ないと言っているようなも…

この記事は有料記事です。

残り1544文字(全文2232文字)

銭本隆行

日本医療大学認知症研究所研究員

ぜにもと・たかゆき 1968年広島市生まれ、福岡市育ち。51歳。早稲田大学政治経済学部在学中にヨーロッパを放浪。そのときにデンマークと出会う。大学卒業後、時事通信社、産経新聞社で、11年間の記者生活を送る。2006年にデンマークへ渡り、デンマーク独自の学校制度「国民高等学校」であるノアフュンス・ホイスコーレの短期研修部門「日欧文化交流学院」の学院長を務めた。全寮制の同校で知的障害者のデンマーク人らと共に暮らし、日本からの福祉、教育、医療分野に関する研修を受け入れながら、デンマークと日本との交流を行ってきた。2010年にオーデンセペダゴー大学で教鞭を執り、2013年にはデンマークの認知症コーディネーター教育を受けた。  2015年末に日本に帰国し、2016年3月に名古屋市の日本福祉大通信制大学院で認知症ケアシステムに関する修士号を取得し、同年、福岡市の精神障害者の生活訓練事業所の設立・運営に携わる。現在は札幌市の日本医療大学認知症研究所と名古屋市の日本福祉大学大学院博士後期課程に在籍しながら地域包括ケアシステムに関する研究を進めている。ノーマライゼーション理念の提唱者であるデンマーク人の故N.E.バンクミケルセンにちなむN.E.バンクミケルセン記念財団理事も務める。