実践!感染症講義 -命を救う5分の知識-

新型コロナ 大阪の「密」と検査不足と差別

谷口恭・太融寺町谷口医院院長
  • 文字
  • 印刷
大阪府の独自基準「大阪モデル」が「赤信号」となり、赤色にライトアップされた通天閣で、涙目になった府公式マスコットの「もずやん」=大阪市浪速区で2020年12月3日午後8時15分、本社ヘリから山田尚弘撮影
大阪府の独自基準「大阪モデル」が「赤信号」となり、赤色にライトアップされた通天閣で、涙目になった府公式マスコットの「もずやん」=大阪市浪速区で2020年12月3日午後8時15分、本社ヘリから山田尚弘撮影

 大阪府の吉村洋文知事は12月3日、新型コロナウイルスの感染状況を判断する府の独自基準「大阪モデル」で、非常事態を呼び掛ける「赤信号」を点灯すると表明しました。そして府民に「不要不急の外出自粛」を要請しています。実際、現在大阪府では新たな感染者数が連日300人を超え、重症患者のための病床も埋まりつつあります。ときどき誤解があるので少し説明を加えておくと、重症病床というのは重症化した人全員が入ることができる病床ではありません。年齢やその人の状況から、救命すべきだと判断されたケースだけが重症病床に入院できるのです。実際には文字通りの重症なのに重症病床に入ることができず他界されている高齢者施設の入居者や療養型病院の入院患者もいるのです。では他府県に比べて大阪府の状況が逼迫(ひっぱく)する理由はどこにあるのでしょう。今回は私見をふんだんに交えてその理由を述べていきたいと思います。

この記事は有料記事です。

残り3145文字(全文3536文字)

谷口恭

太融寺町谷口医院院長

たにぐち・やすし 1968年三重県上野市(現・伊賀市)生まれ。91年関西学院大学社会学部卒業。4年間の商社勤務を経た後、大阪市立大学医学部入学。研修医を終了後、タイ国のエイズホスピスで医療ボランティアに従事。同ホスピスでボランティア医師として活躍していた欧米の総合診療医(プライマリ・ケア医)に影響を受け、帰国後大阪市立大学医学部総合診療センターに所属。その後現職。大阪市立大学医学部附属病院総合診療センター非常勤講師、主にタイ国のエイズ孤児やエイズ患者を支援するNPO法人GINA(ジーナ)代表も務める。日本プライマリ・ケア連合学会指導医。日本医師会認定産業医。労働衛生コンサルタント。主な書籍に、「今そこにあるタイのエイズ日本のエイズ」(文芸社)、「偏差値40からの医学部再受験」(エール出版社)、「医学部六年間の真実」(エール出版社)など。太融寺町谷口医院ウェブサイト