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データを精査し経済を止めるな 小林よしのりさんに聞く(上)

医療プレミア編集部
コロナ禍の社会の不健全さについて語る漫画家の小林よしのりさん=東京都目黒区で2020年11月27日、藤井太郎撮影
コロナ禍の社会の不健全さについて語る漫画家の小林よしのりさん=東京都目黒区で2020年11月27日、藤井太郎撮影

 漫画家の小林よしのりさん(67)が「ゴーマニズム宣言SPECIAL コロナ論」「ゴーマニズム宣言SPECIAL コロナ論2」「新型コロナ―専門家を問い質(ただ)す」を相次いで出版した。新型コロナウイルス感染症対策を「無意味」と切って捨て、政治家や感染対策を助言する専門家を「経済を殺した」と断罪する。「戦争論」「天皇論」など話題作で議論を巻き起こした小林さんの指摘はただの「ごーまん」なのか。真意を聞いた。【くらし医療部・酒井雅浩】

コロナとインフルを比較すると…

 ――医療の専門家ではないにもかかわらず、「新型コロナウイルス」をテーマに書いたのはなぜですか。

 普段からインフルエンザを恐れているわけですよ、わしは。インフルエンザにかかってしまったら大変ですからね。38、39度の高熱を出しても、原稿を書かなければ締め切りに間に合わないから。世の中の人たちはインフルエンザを何も警戒しないのに、コロナは過剰に警戒しました。「危険なウイルスが入ってきた」という感覚が、最初のころはありましたね。

 ただ、インフルエンザは年1000万人感染している。間接死1万人、直接死3000人ですよ。コロナがこれに到達するかどうかだけが大事なのではないかと気づいた。インフルエンザの感染者数は、昨年までは1日3万人。コロナは今でもまだ「1日3000人」とか毎日毎日報道するけど、とても3万人には達しそうにない。死者も累計2000人台でしょう。もう話にならないくらい弱い。毎日のようにデータを見て、どう考えてもおかしい、これは普通のかぜと同じだと思ってしまった。これは「インフォデミック」(インフォメーション<情報>と、エピデミック<流行>を組み合わせた造語で、不確かな情報が大量に広がり、問題解決を遅らせるような状況のこと)だ。間違った情報でみんな狂っちゃっている。報道が悪質で、人の恐怖をあおる数字を探しているからです。

指定感染症から外せば医療崩壊は起きない

 ――患者が増えると、病床が埋まり、適切な医療を提供できない「医療崩壊」が起きる懸念があります。

 コロナ患者だけを、しかも異様なまでの防護服で診なければならないから、負担が大きいだけでしょう。ではなぜ、インフルエンザ患者には防護服を着ないんですか。重症患者が増えていると言っているけどさ、一般病棟に入院したらいい。日本の病床数は160万床もあるのに、コロナには3万床弱しか使っていない。コロナは感染症法に基づく「指定感染症」で、無症状病原体保有者への入院勧告もでき、致死率の高いエボラ出血熱並みの強い措置ができますが、ナンセンスだ。指定感染症から外せば、普通の医師が診られるから、医療崩壊な…

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