健康を決めるチカラ

「できる」という自信を持つこと

中山 和弘・聖路加国際大大学院看護学研究科看護情報学分野教授
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 寒い日が続きますが、風邪などひいていないでしょうか。もし、せきやくしゃみが出るときは、マスクやティッシュ、ハンカチ、袖を使って、口や鼻を押さえることが求められています。マスクをしていない時に、急に出てしまうこともありますが、必ずできるという自信があるでしょうか。他にも感染予防のためには、マスク、手洗い、部屋の換気、少人数での静かな食事――などの行動を守ることが挙げられますが、適切にできる自信がどれほどあるでしょうか。

 なぜ自信にこだわるかというと、これまでの習慣にない新しい行動を始めたり、続けたりするには、「できる」という自信が大切なことが知られているからです。学校で跳び箱を跳ぶ時、走っていっても直前で自信がなくて止まってしまった経験はないでしょうか。このような、ある行動ができる自信のことを自己効力感(英語ではセルフエフィカシーです)と言います。いくら強く望んでいる行動でも、それ以前に自信がないとできないということです。

 この自己効力感を提唱したアルバート・バンデューラは、ヘビが怖い人を対象に実験をしています。絶対に参加したくない実験ですが、ヘビの入った水槽に近づけるか、水槽をのぞけるか、ヘビを触れるか、ヘビを膝にのせられるかなど、それぞれができる自信の程度を測定しています。私は幼い頃に、家の玄関を出たらこちらを見ている長い長いヘビと目が合って身がすくんだり、河原で大きなヘビがすごいスピードでくねくね進むのを見たりして、大の苦手です。道路…

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中山 和弘

聖路加国際大大学院看護学研究科看護情報学分野教授

1985年に東京大医学部保健学科を卒業し、90年に同大大学院医学系研究科保健学専攻博士課程修了。日本学術振興会特別研究員、愛知県立看護大助教授などを経て、2004年から聖路加国際大大学院看護学研究科看護情報学分野教授。適切な情報に基づく意思決定や行動をケアする看護情報学、保健医療社会学が専門。ヘルスリテラシー、意思決定支援、ヘルスコミュニケーションやそのサポートネットワークなどについて研究している。ウェブサイト「健康を決める力」(http://www.healthliteracy.jp/)を運営。