医療プレミア特集

不妊治療 子どもの「出自を知る権利」議論を

医療プレミア編集部
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石原理・埼玉医大教授=埼玉県毛呂山町で2020年12月17日
石原理・埼玉医大教授=埼玉県毛呂山町で2020年12月17日

 第三者の精子・卵子を使った不妊治療で、出産後の親子関係を定める民法の特例法(生殖補助医療法)が2020年12月、成立した。不妊治療の国際的な状況に詳しい石原理・埼玉医科大教授(産婦人科)に法成立の意義や、日本の課題などを聞いた。【聞き手 科学環境部・渡辺諒、写真も】

 ――日本でもようやく生殖補助医療法が成立しました。

 ◆これまで日本では、不妊治療を規制したり、治療の結果生まれた子と親との関係を規定したりする法律はなく、先進国として異常な状態でした。

 法律がない中で、これまでは日本産科婦人科学会の会告が倫理的な規制として機能してきました。単なる一つの学会の生殖医療に関連する会告が十数本あり、それらが非常によく守られているという状況が続いています。法律があっても守られていない国がある中で、日本は特殊な状況です。ところが、そのために、法的に親子関係を定義しなければいけない部分が欠落し、あいまいなままの状況が長らく続いてきました。

 ――海外では不妊治療に関する法規制が進んでいるのですか。

 ◆世界的には、1984年にスウェーデンで「人工授精法」ができたのが最初です。提供精子で生まれた子どもの親子関係を明確にし、子が提供者の情報を得ることができるということを同法で定めました。88年の「体外受精法」で卵子提供や代理出産を禁止しましたが、その後、提供卵子を求めて国外に行く人が相次ぎ、2000年代後半に法律を抜本的に改正し、国内での卵子提供を可能にしています。

 欧州各国では90年代以降、法整備が進みました。英国で90年に成立した「ヒトの受精及び胚研究に関…

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