
2021年1月6日、トランプ大統領を支持する人々が米連邦議会議事堂を取り囲み、一部が建物に乱入する暴動が起こりました。この原稿を書いている時点ですでに5人の死者が報告されています。この事件は同国の政情が極めて不安定であることを示したもので、まずは政治的な意味を考えるべき事件であることは明白なのですが、報道された画像を見て私が感じたのは「新型コロナは心配しなくていいの?」という疑問でした。なぜなら暴動に加わった大勢の人たちがマスクをせず「密」な行動をとっていたからです。
一方、日本の新型コロナの多くは飲食店で感染が起こっているのではないか、という私見を過去のコラム「新型コロナ 飲食店にとってほしい五つの対策」で紹介しました。そのコラムで述べたように、私自身は新型コロナ流行以降、外食を控えテークアウトを多用しています。先日、電話注文したギョーザを取りに行くために繁華街を通ったとき、ビルの1階に位置した多くのカフェやバーが、コロナ流行前とまるで同じ風景であることに驚…
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谷口恭
太融寺町谷口医院院長
たにぐち・やすし 1968年三重県上野市(現・伊賀市)生まれ。91年関西学院大学社会学部卒業。4年間の商社勤務を経た後、大阪市立大学医学部入学。研修医を終了後、タイ国のエイズホスピスで医療ボランティアに従事。同ホスピスでボランティア医師として活躍していた欧米の総合診療医(プライマリ・ケア医)に影響を受け、帰国後大阪市立大学医学部総合診療センターに所属。その後現職。大阪市立大学医学部附属病院総合診療センター非常勤講師、主にタイ国のエイズ孤児やエイズ患者を支援するNPO法人GINA(ジーナ)代表も務める。日本プライマリ・ケア連合学会指導医。日本医師会認定産業医。労働衛生コンサルタント。主な書籍に、「今そこにあるタイのエイズ日本のエイズ」(文芸社)、「偏差値40からの医学部再受験」(エール出版社)、「医学部六年間の真実」(エール出版社)など。太融寺町谷口医院ウェブサイト