医療プレミア特集

コロナ禍の今こそ見直したいお酒との付き合い方 松本俊彦さんに聞く(下)

西田佐保子・毎日新聞 医療プレミア編集部
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 新型コロナウイルス感染拡大の影響で自粛生活が続く中、「自宅でお酒を飲む機会が増えた」という声をよく耳にします。終電を気にせず、つい安心して飲み過ぎてしまう人も多いのではないのでしょうか。「多量飲酒を続けると、アルコールによる健康被害やアルコール依存症のリスクが高まります」。そのように語る国立精神・神経医療研究センター病院の松本俊彦・薬物依存研究部長(53)に、近年人気の「ストロング系チューハイ」などについて、前編に続いて聞きました。【聞き手・西田佐保子】(前編の「コロナで顕著化した女性の生きづらさ 松本俊彦さんに聞く」はこちら)

飲んだ量をモニタリングすることから

 ――コロナの影響で、飲酒の量は増えているのでしょうか。

 ◆データがないので分かりませんが、コロナに限らず、大震災などの自然災害や緊急事態が起きると、お酒の問題が出てきます。ただ、飲酒量が増えるのは以前から飲む習慣があった人たちで、もともとあまり飲まなかった人たちは余計に飲まなくなるなど、むしろ二極化が進んでいるような気がしますね。後に出る統計を見てもデータ上は変わらないと思います。調べるのは難しいですね。

 ――在宅勤務制度が導入されて通勤の必要がなく、家で早い時間から飲み始めるようになった人も多いかもしれないですね。ビデオ会議システム「Zoom(ズーム)」などを利用した「オンライン飲み会」も話題になりました。

 ◆家では終電を気にせずに飲めます。朝早く起きられなかったとしても、問題がありません。飲むべき正当な理由も出てくるわけですよ。自炊が多くなるから、「せっかくなら手の込んだ料理を作って、おいしいワインでも開けちゃいましょうか」という感じですね。

飲酒量 数字で把握を

 ――「最近飲み過ぎかも……」と思っている人は、どのような点に気をつければよいでしょうか。

 ◆まずは、自分が飲んだ量を数字で把握することが大切です。純アルコール量を「ドリンク」という単位で考え、1ドリンクを純アルコール約10g分として計算します。「アルコール飲料量(ml)×アルコール含有率×0.8(アルコールの比重g/ml)÷10(g)=ドリンク数」で算出できます。

 「ビールの500mlロング缶の半分」「日本酒半合」「ワイングラス1杯半」「ウイスキーシングル1杯」を、それぞれ1ドリンクの目安にしてもよいでしょう。基本は1日に2ドリンクまでとし、それが難しくても4ドリンク以下には抑えます。

 6ドリンクを超えると、厚生労働省が定義するところの「多量飲酒者」にあたります。多量飲酒を長期間にわたり続けると、アルコールによる健康被害やアルコール依存症のリスクが高まります。アルコール依存症になると、自分の意思で飲酒をコントロールできず、アルコールを飲まずにはいられない状態に陥ります。また、お酒は自殺や暴力事件な…

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西田佐保子

毎日新聞 医療プレミア編集部

にしだ・さほこ 1974年東京生まれ。 2014年11月、デジタルメディア局に配属。20年12月より現職。興味のあるテーマ:認知症、予防医療、ターミナルケア。