実践!感染症講義 -命を救う5分の知識-

コロナワクチンの接種 公的立場と個人の立場

谷口恭・太融寺町谷口医院院長
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新型コロナウイルスワクチン接種会場運営訓練で行われたワクチン注射の訓練=川崎市幸区で2021年1月27日午後1時12分、梅村直承撮影
新型コロナウイルスワクチン接種会場運営訓練で行われたワクチン注射の訓練=川崎市幸区で2021年1月27日午後1時12分、梅村直承撮影

 最近よく、知人や太融寺町谷口医院の患者さんから、そしてしばしばメディアからも尋ねられるのが「新型コロナのワクチンは打たない方がいいのですか」という質問です。報道の人たちは、過去の私の記事「新型コロナ ワクチン接種には医師も慎重」を読んで、興味を持たれて取材を申し込まれます。ある雑誌社から取材を受け、でき上がった原稿を見て驚きました。「私はワクチンを打ちません!」と私が話したように書かれていたからです。ちなみに、こういうことはあらかじめ予想されるために、私はメディアの取材を受けるときは必ず公開前に記事を見せてもらうことを条件としています。

 私が「あなたは打ちますか?」と聞かれたときにどう答えているかをお伝えしておきましょう。私は従来「医師は公僕であり、プライベートについて話すべきではない」と考えてきましたが、こと新型コロナに関しては「公僕であるが故に」自分自身のことを世間にさらした方がいいのではないか、と考えるようになりました。もしも私が新型コロナに感染すればこの場でお伝えするつもりですし、ワクチンについても接種すれば報告します。

「私自身は『打つ』に傾いています」

 そんな私がワクチンに対して現時点ではどのように考えているかというと「自分は接種すべきではないか」という気持ちに傾いています。先に述べたコラムに書いた通り、わずかであってもワクチン接種でかえって悪化する可能性がある以上、他者には勧められないと判断しています。そして、自分自身の接種もためらっています。もしも私が医師でなければ「現時点では希望しません」と言うでしょう。この連載で繰り返し伝えているように、新型コロナを含めて(広い意味での)“風邪”は適切な対策をとっていれば防ぐことができるからです。実際、私は過去8年間で一度も風邪を引いていません。では、なぜその私がワクチン接種を検討しているのか…

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谷口恭

太融寺町谷口医院院長

たにぐち・やすし 1968年三重県上野市(現・伊賀市)生まれ。91年関西学院大学社会学部卒業。4年間の商社勤務を経た後、大阪市立大学医学部入学。研修医を終了後、タイ国のエイズホスピスで医療ボランティアに従事。同ホスピスでボランティア医師として活躍していた欧米の総合診療医(プライマリ・ケア医)に影響を受け、帰国後大阪市立大学医学部総合診療センターに所属。その後現職。大阪市立大学医学部附属病院総合診療センター非常勤講師、主にタイ国のエイズ孤児やエイズ患者を支援するNPO法人GINA(ジーナ)代表も務める。日本プライマリ・ケア連合学会指導医。日本医師会認定産業医。労働衛生コンサルタント。主な書籍に、「今そこにあるタイのエイズ日本のエイズ」(文芸社)、「偏差値40からの医学部再受験」(エール出版社)、「医学部六年間の真実」(エール出版社)など。太融寺町谷口医院ウェブサイト 無料メルマガ<谷口恭の「その質問にホンネで答えます」>を配信中。