ジソウのお仕事

あるひとり親家庭のための会議

青山さくら・児童相談支援専門職員
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 児童相談所に寄せられた個々の子どもの家庭への対応について、関係機関が話し合う、個別ケース検討会議というものがある。

 ある冬の日の夕方、子どもたちがみんな下校してしまった小学校に、関係者が集められた。市役所の子ども支援課、生活保護のケースワーカー、保健師、スクールソーシャルワーカー、主任児童委員、そして私たち児相。時間通りに集合したのに、「職員会議がまだ終わらないから」と待たされた。

 外は雪が降っていて、学校の廊下で待っていると寒くて凍えそうだ。見かねた司書教諭が、図書室にストーブをつけて入れてくれた。暖かい。ほっとしたら、目の前に、色とりどりの児童図書が広がっていた。木製の低い書架の上段に絵本の表紙が並べられていて、誰かが「わあ」と声を上げた。木造の古い図書室はどこかなつかしい。さっきまで、「こんな雪の中、待たされるなんて」「かなわないね」「早く帰りたい」とぼやいていた人た…

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青山さくら

児童相談支援専門職員

「青山さくら」はペンネーム。複数の児童相談所で児童福祉司として勤務。「ジソウのお仕事」は隔月刊誌「くらしと教育をつなぐWe」(フェミックス)で2009年4月から連載。過去の連載の一部に、川松亮・明星大学常勤教授の解説を加えた「ジソウのお仕事―50の物語(ショートストーリー)で考える子ども虐待と児童相談所」(フェミックス)を20年1月刊行。【データ改訂版】を2021年3月に発行した。絵・中畝治子