知ってほしい「認知症の大事な話」

脳を診断するプログラム 誤用と誤診にご用心

小田陽彦・ひょうごこころの医療センター認知症疾患医療センター長
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 今回は脳の画像の「疾病診断用プログラム」(以下、プログラム)について述べます。アルツハイマー型認知症では、脳の一部分で記憶に関係している「海馬」が萎縮していることが多いのですが、脳の写真を見ても萎縮しているかどうかはっきり分からない場合があります。プログラムは脳の写真をコンピューターが解析し脳の萎縮を評価することによって、萎縮のあるなしを客観的に明確にするものです。一見すると便利なのですが、使い方を間違えると誤診の元となります。その誤診に基づく不適切な薬物治療が大きな副作用を出すこともあります。また、脳ドックでプログラムによる解析を受けても、全く意味はありません。「診断用プログラム」と名付けられてはいるものの、プログラムがやるのはあくまで「萎縮の程度の判定」であって「認知症かどうかの診断」でも「認知症になりそうかどうかの診断」でもないからです。病気の進行度合いや治療効果などを確認することもできません。以下、プログラムの正体について述べていきます。

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小田陽彦

ひょうごこころの医療センター認知症疾患医療センター長

おだ・はるひこ 1977年、兵庫県西宮市出身。兵庫県立ひょうごこころの医療センター精神科医師。神戸大学医学部卒。医学博士。神戸大学医学部精神科助教、兵庫県立姫路循環器病センター等を経て2017年4月より現職。日本精神神経学会専門医・指導医。日本老年精神医学会専門医・指導医・評議員。著書に「科学的認知症診療」(シーニュ社、2018)