医療プレミア特集

児童福祉法改正 「施設から家庭へ」実現するか/下

医療プレミア編集部
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早稲田大社会的養育研究所の上鹿渡和宏教授=東京都新宿区の早稲田大で2020年11月30日、黒田阿紗子撮影
早稲田大社会的養育研究所の上鹿渡和宏教授=東京都新宿区の早稲田大で2020年11月30日、黒田阿紗子撮影

 「施設から家庭へ」。虐待を受けて親元で暮らせない子どもを育てる日本の仕組みは、今まさに再構築の過渡期にある。2020年4月、この分野として国内の大学で初の研究機関となる「社会的養育研究所」を設立した早稲田大の上鹿渡和宏教授(49)は「すべての子どもを原則家庭で育てるには、自治体や施設だけでなく、里親、そして一般の地域の人たちも変わらなければいけない」と言う。どういうことなのか。13日アップの「上」に続いて聞いた。【くらし医療部・黒田阿紗子】

――自治体から委託されて子どもを育てている里親は、全国で約4300世帯です。今後、担い手は増えるでしょうか。

 もっと増やしていくことは可能です。これまでのように、何でも自分でコーディネートしてやれる能力にたけた人だけでなく、子どもを育てたいと思う「普通の人」が里親になっていく時代だと思います。全国に、フォスタリング(里親養育包括支援)機関という心強い存在が整えられつつあるからです。

 今まで里親は、児童相談所の担当者との関わりがあまりありませんでした。そのため、子育てで困ることがあっても「子どもの委託を解除されてしまうのではないか」と恐れて助けを求められないなど、孤立しがちだったと思います。これからは、フォスタリング機関と協働し、チームの一員としてサポートや助言、指導を受け、地域の資源を活用しながら子どもを育てていくことになります。

親元で暮らせない子どもを知る

――「普通の人」が里親の担い手になるのは、まだハードルが高いような気がします。

 「子どもを育てたい」と思っている人が、それを実現するために必要なのは、地域の資源です。仕事をしていても預ける場所があるとか、そういったハード面だけではなく、地域の目もあります。例えば、学校で子どもや里親が肩身の狭い思いをするようなことがあってはなりません。今までは児童養護施設の校区内の教員や住民だけ分かっていればよかったのですが、里親家庭になると地域に分散することになります。そういう意味で、みんなが親元で暮らせない子どもについて知り、変わっていかなければ「家庭で育てる」という原則は実現しません。

 これは、虐待を受けて保護される社会的養護の子どものためだけの転換ではないのです。少し別の話になりますが、国は今、実親の元で暮らす子どもを一時的に預かる「ショートステイ里親」を増やそうとしています。これまでも施設でショートステイを行っていまし…

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