連載もあと1回となりました。ありがとうございました。初回を振り返ると、ぜんそくの子どもが物事を決められない大人に育ったが、それは自分だけではなかったとあります。私たちの調査では日本人のヘルスリテラシー(健康・医療情報を入手、理解、評価し、適切に決められる力)が低く、特に判断したり、意思決定したりするのが難しい傾向だったからです。

 この調査を実施し、新聞でも紹介されたのは2014年でした。当時は、ヘルスリテラシーという言葉は、本紙でもカッコで囲われました。それが最近は、メディアでよく登場します。先日は、政治家の石破茂さんが、日本人のヘルスリテラシーの低さと自らが判断する姿勢への期待に言及していて、おおと思いました。

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聖路加国際大大学院看護学研究科看護情報学分野教授

1985年に東京大医学部保健学科を卒業し、90年に同大大学院医学系研究科保健学専攻博士課程修了。日本学術振興会特別研究員、愛知県立看護大助教授などを経て、2004年から聖路加国際大大学院看護学研究科看護情報学分野教授。適切な情報に基づく意思決定や行動をケアする看護情報学、保健医療社会学が専門。ヘルスリテラシー、意思決定支援、ヘルスコミュニケーションやそのサポートネットワークなどについて研究している。ウェブサイト「健康を決める力」(http://www.healthliteracy.jp/)を運営。