このたび、医療プレミアで連載を始めることになった、がん研究者の大須賀覚です。本格的な連載開始に先立ち、簡単に自己紹介をさせていただきます。

 私は長い間、日本で脳神経外科医として診療に携わり、主に悪性脳腫瘍(脳にできるがん)の患者さんを治療してきました。その後、現在の治療の限界を感じ、「もっと効く薬をつくることはできないか」と考えるようになりました。さまざまな葛藤や経験を経て、最終的に進んだのが、新薬を作るがん研究の道です。現在は、米アラバマ大学バーミングハム校(アラバマ州)で、難治性の悪性脳腫瘍に対する新薬開発のための研究を日々続けています。

 これまで私は医師・研究者としてがんという病気と向き合ってきましたが、本業の傍ら、一般の方に向けた医療情報の発信も積極的に行ってきました。現在、個人ブログ、ツイッター、フェイスブック、新聞や雑誌など各種メディアでも、がんについて解説しています。

ネットに広がる危険なうそ

 日本には不正確な医療情報があふれています。「危機的状況」と言っていいでしょう。私が情報発信を行う理由はここにあります。

 近年、多くの人が、インターネットはもちろん、ツイッター、フェイスブック、インスタグラム、ユーチューブなどのネット交流サービス(SNS)を日常的に利用しています。これらを使うことで、テレビや新聞、本などの媒体を通さずとも、誰もが気軽に情報を発信・受信できる時代になりました。そのことが、不正確な医療情報の広がりにも関係しています。

 情報の需要が多いところには、多くの発信者が集まります。発信者の中には、その分野の専門家ではない人も多数含まれています。「たくさんの…

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大須賀覚

がん研究者/アラバマ大学バーミンハム校助教授

筑波大学医学専門学群卒。卒業後は脳神経外科医として、主に悪性脳腫瘍の治療に従事。患者と向き合う日々の中で、現行治療の限界に直面し、患者を救える新薬開発をしたいとがん研究者に転向。現在は米国で研究を続ける。近年、日本で不正確ながん情報が広がっている現状を危惧して、がんを正しく理解してもらおうと、情報発信活動も積極的に行っている。著書に「世界中の医学研究を徹底的に比較してわかった最高のがん治療」(ダイヤモンド社、勝俣範之氏・津川友介氏と共著)。Twitterアカウントは @SatoruO (フォロワー4万5千人)。