幸せを実感できるから自然に笑顔が出る=筆者撮影
幸せを実感できるから自然に笑顔が出る=筆者撮影

 新型コロナウイルスの感染防止対策で緊急事態宣言が続いていますね。これまでは友人と外食したり、旅行を楽しんだりしていた生活が、今は「おこもり生活」になっているのでは。そんな時、改めて「幸せってなんだろう」と考えた方もいるのではないでしょうか。

「仕事帰りに一杯」がほぼない

 デンマークでも同様で、感染は思うように収まらず、外出や集会などの制限が続いています。しかし、デンマーク人はもともと、日本人のように頻繁に外食はせず、「アフターファイブの飲み会」というものもほぼないため、「おこもり生活」は、そこまで苦にはならないようです。

 「5人以上の集会は禁じられ、多くのスーパーも閉鎖され、コンサートなどの文化的行事もないけれど、妻と一緒にいられるし、自分の時間を持てるから大丈夫」

 デンマーク人の知人は少し前、こうメールで連絡をくれていました。家族との時間を大切にするデンマークならではといえます。さらに、家庭を顧みずに仕事に打ち込むことに幸せを見いだしてきた日本人(だんだん変わってきていますが)と異なり、デンマーク人は自分の時間を持つ、つまり孤独であることを楽しむ国民性でもあります。それは、こうした「おこもり生活」の中でも、幸せを感じ続けるために重要な要素でしょう。

幸福度が高いデンマーク

 こうした背景があってか、デンマークは、幸福度を調べる調査で常に上位にランクされる国です。たとえば、国連が発表している「世界幸福度報告書(World Happiness Report)」の2020年版ではデンマークは2位でした。ちなみに1位は3年連続でフィンランド…

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銭本隆行

日本医療大学認知症研究所研究員

ぜにもと・たかゆき 1968年広島市生まれ、福岡市育ち。51歳。早稲田大学政治経済学部在学中にヨーロッパを放浪。そのときにデンマークと出会う。大学卒業後、時事通信社、産経新聞社で、11年間の記者生活を送る。2006年にデンマークへ渡り、デンマーク独自の学校制度「国民高等学校」であるノアフュンス・ホイスコーレの短期研修部門「日欧文化交流学院」の学院長を務めた。全寮制の同校で知的障害者のデンマーク人らと共に暮らし、日本からの福祉、教育、医療分野に関する研修を受け入れながら、デンマークと日本との交流を行ってきた。2010年にオーデンセペダゴー大学で教鞭を執り、2013年にはデンマークの認知症コーディネーター教育を受けた。  2015年末に日本に帰国し、2016年3月に名古屋市の日本福祉大通信制大学院で認知症ケアシステムに関する修士号を取得し、同年、福岡市の精神障害者の生活訓練事業所の設立・運営に携わる。現在は札幌市の日本医療大学認知症研究所と名古屋市の日本福祉大学大学院博士後期課程に在籍しながら地域包括ケアシステムに関する研究を進めている。ノーマライゼーション理念の提唱者であるデンマーク人の故N.E.バンクミケルセンにちなむN.E.バンクミケルセン記念財団理事も務める。