医療プレミア特集

信頼に値しない教員は「退場」を 文科相に聞く

医療プレミア編集部
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インタビューに答える萩生田光一文科相=東京都千代田区で2021年1月29日、藤井太郎撮影
インタビューに答える萩生田光一文科相=東京都千代田区で2021年1月29日、藤井太郎撮影

 教員による子どもへの性暴力が後を絶たない。現行法上、わいせつ行為で懲戒免職になり、教員免許を失っても、3年後には再取得が可能だ。萩生田光一文部科学相は「わいせつ教員を教育現場から退場させる」として、児童生徒へのわいせつ行為で懲戒処分を受けた教員が免許を再取得できないようにする法改正を検討してきたが、今国会への提出を見送った。与党では議員立法を模索する動きもあるが、難航が予想される。なぜ「わいせつ教員追放」は難しいのか。子どもたちを性暴力から守るために大人ができることとは。萩生田文科相に聞いた。【聞き手 くらし医療部・中川聡子】

日本の法制度は「更生」が前提

 --2019年度にわいせつ行為で懲戒処分を受けた教員は228人、勤務先の児童生徒などへの行為での処分者は126人と高止まりしています。この現状をどう受け止めていますか。

 ◆教員という職業は、個人的には「聖職」といっても過言ではないくらい大切な仕事だと考え、文科行政の中で教員のあり方を議論してきました。義務教育の公立学校では、子どもや保護者に、教師を選ぶ選択権はありません。学区があって、決められた学校に通う、あてがわれたクラスで、あらかじめ決められた教師を信頼して預ける、という形で公教育は成立しています。

 子どもを守り育てる立場の教員が、わいせつ行為を働くことは断じて許されません。子どもへのわいせつ行為を働く教員がいることで、教員全体への社会の信頼が失われてしまうことは、耐えられない思いがします。

 とりわけ、わいせつ行為を問題にするのはなぜか。子どもへの性犯罪は、再犯率が高いことが研究で明らかになっています。また、性被害は子どもが誰かに打ち明けることが難しく、潜在化しやすいものです。子どもに一生に及ぶ影響を与えかねません。教育現場は、親子と教員の信頼関係で成り立つもの。信頼に値しない教員には「退場」していただくしかないと考えています。

 --わいせつ教員を「退場」させるための法改正を検討されたものの、今国会への提出を見送ることになりました。何がハードルになりましたか。

 ◆文科省として、わいせつ行為を犯し懲戒処分を受けた教員は二度と教員免許を取得できないようにする教育職員免許法改正案を検討してきました。内閣法制局や厚生労働省とも相談し、真摯(しんし)に検討を重ねましたが、現状では越えられない壁がありました。

 日本の法制度は、罪を犯した人であってもいずれ更生できるということを前提に作られています。刑法では、たとえば殺人罪などの重罪を犯して刑に処せられても、その刑の執行後10年で刑が消滅します。医師や弁護士など他のさまざまな国家資格も、罪を犯しても一定期…

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