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口の病気 糖尿病や肥満に影響

 
 

 新型コロナウイルスは、依然として世界中で猛威を振るっています。新型コロナウイルスに感染して病状が重症化しやすいのは、高齢者と基礎疾患を有している方だと言われています。この基礎疾患の代表が糖尿病や肥満症です。今回の話題は、「口の病気である歯周病は、糖尿病や肥満を悪化させる」というお話です。つまり、重症の歯周病を放置した方が新型コロナウイルスに感染すると、糖尿病や肥満を介して病気がより重症化してしまう恐れがあります。

歯周病は糖尿病を悪化させる

 糖尿病は、血糖を下げるホルモンであるインスリンの作用不足で慢性の高血糖を起こす病気です。食事のあとは血液中の糖分の濃度(血糖値)が上昇します。ところが、糖分が血液中を循環し続ける限り、我々の体はこれをエネルギー源として利用することができません。食事のあと、上昇した血液中の糖分は、可及的速やかに個々の細胞に取り込ませる必要があります。この時に働くのがインスリンというホルモンです。インスリンは膵臓(すいぞう)で作られ、血糖値が上昇した時に血液中に分泌され、体内の細胞に運ばれます。インスリンに反応した細胞の表面には糖の輸送体(糖を細胞内に取り込む運び屋)があらわれ、細胞外の糖分を細胞内に取り込みます。こうして血糖値が下がるとともに、取り込まれた糖分は細胞内でエネルギー源として利用されたり、栄養が不足した時に備えて蓄えられたりします。

 インスリンの作用不足で過剰な糖分が血液中に長くとどまると毒性を発するようになるので、インスリンは非常に大事なホルモンです。しかしインスリンの量が少ないと…

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