私たちは絶えず、放射線を浴び続けています。宇宙や大地からの自然放射線がもたらす外部被ばくと、食物や空気中のラドンなど、天然に存在する放射性物質から受ける内部被ばくとがあります。

 わが国の自然被ばくは、ウラン鉱石などの資源が乏しいこともあり、世界平均(年2.4ミリシーベルト)より少ない年2.1ミリシーベルトです。なお、日本人の自然被ばくのおよそ半分に相当する約1ミリシーベルトが野菜や魚などに含まれる天然の放射性物質による内部被ばくです。

 一方、資源が豊富なフィンランドでは年間の自然な外部被ばくが8ミリシーベルトにもなります。スウェーデンで7ミリシーベルト、フランスでも5ミリシーベルト程度になります。もちろん、ヨーロッパにがんが多いというデータは存在しません。

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中川 恵一

東大大学院医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1985年東京大医学部卒。スイス Paul Sherrer Instituteへ客員研究員として留学後、同大医学部付属病院放射線科助手などを経て、2021年4月から同大大学院医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。同病院放射線治療部門長も兼任している。がん対策推進協議会の委員や、厚生労働省の委託事業「がん対策推進企業アクション」議長、がん教育検討委員会の委員などを務めた。著書に「ドクター中川の〝がんを知る〟」(毎日新聞出版)、「がん専門医が、がんになって分かった大切なこと」(海竜社)、「知っておきたい『がん講座』 リスクを減らす行動学」(日本経済新聞出版社)などがある。