ボストン発 ウェルエイジング実践術

新型コロナ ワクチンを「パスポート」にする弊害

大西睦子・内科医
  • 文字
  • 印刷
閑散とした関西国際空港第1ターミナルの国際線出発エリア。客は帰国する人4人だけだった=大阪府で2021年1月21日午後0時28分、鶴見泰寿撮影
閑散とした関西国際空港第1ターミナルの国際線出発エリア。客は帰国する人4人だけだった=大阪府で2021年1月21日午後0時28分、鶴見泰寿撮影

 現在米国では、新型コロナウイルスのワクチンが3種類承認されています。ワクチンの製造元は、モデルナ社、ファイザー社など、そしてジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)社です。2021年3月17日の米疾病対策センター(CDC)のデータでは、65歳以上の米国人の65.46%が、ワクチンを少なくとも1回接種され、37.6%が「接種完了」となりました。全米では22.2%が少なくとも1回接種、12.1%が接種完了になりました。接種完了とは、モデルナあるいはファイザーのワクチン2回接種を受けてから2週間以上、またはJ&Jのワクチン(1回接種で終了)を接種されてから2週間以上経過した場合です。

 CDCによると、これらのワクチンは、新型コロナウイルスの感染症の重症化の予防に効果的です。接種完了となった人は発症しにくいばかりでなく、無症状のまま感染する可能性も低く、他人に感染させるリスクが低いという証拠が増えています。ただし、ワクチンの効果がどのくらい続くかや、ウイルスの「変異株」に対しても発症などを予防できるかについては調査中です。それでもCDCは、「隔離などの措置を緩和することで社会的…

この記事は有料記事です。

残り5769文字(全文6262文字)

大西睦子

内科医

おおにし・むつこ 内科医師、米国ボストン在住、医学博士。東京女子医科大学卒業後、同血液内科入局。国立がんセンター、東京大学医学部付属病院血液・腫瘍内科にて造血幹細胞移植の臨床研究に従事。2007年4月より、ボストンのダナ・ファーバー癌研究所に留学し、ライフスタイルや食生活と病気の発生を疫学的に研究。08年4月から13年12月末まで、ハーバード大学で、肥満や老化などに関する研究に従事。ハーバード大学学部長賞を2度授与。現在、星槎グループ医療・教育未来創生研究所ボストン支部の研究員として、日米共同研究を進めている。著書に、「カロリーゼロにだまされるな――本当は怖い人工甘味料の裏側」(ダイヤモンド社)、「『カロリーゼロ』はかえって太る!」(講談社+α新書)、「健康でいたければ『それ』は食べるな」(朝日新聞出版)。