イースターを彩るのは、黄色がモチーフの飾りです=筆者撮影
イースターを彩るのは、黄色がモチーフの飾りです=筆者撮影

 「イースター(Easter)」は、イエス・キリストが処刑から3日後に復活したことを記念する「復活祭」です。キリスト教ではとても重要な日とされます。日本では、クリスマスは伝統行事となっていますが、イースターはその存在感はまだ薄いといえます。しかし、キリスト教信者の多い国では、イエス・キリストが復活したわけですから、生誕を祝うクリスマスと並ぶか、それ以上に意味がある大切な日なのです。

デンマークの「ポースケ」

 イースターの日付は、キリスト教の宗派によって微妙に異なりますが、多くは「春分の日の後の最初の満月の後の日曜日」です。デンマークではこの取り決めに従って、今年は4月4日です。デンマーク語では「ポースケ(Påske)」と呼ばれ、キリスト教を国教とするデンマークの街は、イースターが近づくと、街にウサギやヒヨコをモチーフにした飾りが登場し、街中が黄色に染まり、春の華やぎを感じさせます。クリスマスの基調色は赤ですが、イースターは黄色です。芽吹きの色であり、長い冬が終わり、待ち焦がれた春の到来を感じさせるのです。

 デンマークの知人は「ポースケの黄色に、アネモネが咲き乱れる時期。春の訪れを感じさせ、一番好きな時期よ」と話していました。デンマークではアネモネの青色の花が、雪が消えた後の地面から現れ、「春告げ花」とされています。

 デンマークではイースターの直前の木曜を「聖木曜日」、金曜を「聖金曜日」、翌日の月曜を「第2イースター」として祝日となり、週休完全2日制なので5連休ということになります。ちなみにスウェーデンには「聖木曜日」はありません。デンマーク人の方が休み好きなのでしょうか?

 学校もイースター前の週は「イースター休暇」となり、子どもにあわせて大人も休むため(デンマークでは休暇は日本よりはるかに取りやすいのです)、イースター前々週の土曜から第2イースターまでの10日間は、さまざまな業務がほぼ停止状態となり、まさに「イースター休み」となります。

新型コロナで楽しさ半減

 「でも、休みになるのはいいけれど、今年は新型コロナウイルスの影響で外出自粛がいまだに続いているから、自宅で楽しむだけで、楽しさ半減だよ」

 デンマークの知人は、こうなげきます。通常であれば、この期間に、春の陽気に誘われて多くのデンマーク人は夏休みほどではありませんが、比較的近場の国内や隣国などへ1週間程度の旅に出るものです。しかし、今年は旅行はもとより外食も難しく、せっかくの休み期間でも自宅に居続けるしかありません。

 デンマークの教会では、復活祭にからんで信者のお祈りを受け入れています。ある教会のホームページによれば、イースター当日は24時間受け入れると掲載されていました。…

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銭本隆行

日本医療大学認知症研究所研究員

ぜにもと・たかゆき 1968年広島市生まれ、福岡市育ち。51歳。早稲田大学政治経済学部在学中にヨーロッパを放浪。そのときにデンマークと出会う。大学卒業後、時事通信社、産経新聞社で、11年間の記者生活を送る。2006年にデンマークへ渡り、デンマーク独自の学校制度「国民高等学校」であるノアフュンス・ホイスコーレの短期研修部門「日欧文化交流学院」の学院長を務めた。全寮制の同校で知的障害者のデンマーク人らと共に暮らし、日本からの福祉、教育、医療分野に関する研修を受け入れながら、デンマークと日本との交流を行ってきた。2010年にオーデンセペダゴー大学で教鞭を執り、2013年にはデンマークの認知症コーディネーター教育を受けた。  2015年末に日本に帰国し、2016年3月に名古屋市の日本福祉大通信制大学院で認知症ケアシステムに関する修士号を取得し、同年、福岡市の精神障害者の生活訓練事業所の設立・運営に携わる。現在は札幌市の日本医療大学認知症研究所と名古屋市の日本福祉大学大学院博士後期課程に在籍しながら地域包括ケアシステムに関する研究を進めている。ノーマライゼーション理念の提唱者であるデンマーク人の故N.E.バンクミケルセンにちなむN.E.バンクミケルセン記念財団理事も務める。