糖尿病患者は、新型コロナウイルス感染症にかかると症状が重くなりやすいとされる。日々のニュースでも「糖尿病などの持病のある人は……」などと、重症化が心配な代表的な病気のように扱われる。では、糖尿病患者は、どうすればいいのか。糖尿病はどこまで怖がるべきなのか。糖尿病と新型コロナ感染症の関係について、専門の医師に取材した。【医療プレミア編集部・永山悦子】
糖尿病はコロナに感染しやすいわけではない
そもそも糖尿病患者は新型コロナにかかりやすいのだろうか。
中国や米国での調査結果を見ると、感染者に占める糖尿病患者の割合は、それぞれの国全体の糖尿病患者の割合と変わらなかったという。糖尿病だから新型コロナにかかりやすいというわけではないようだ。
ただし、同じ米国の調査によると、入院したり集中治療室(ICU)へ入ったりした患者に占める糖尿病患者の割合は、人口全体に占める割合よりも大幅に高くなっていた。国内の調査でも同じような傾向がみられており、糖尿病患者が一般の人よりも重症化しやすいというのは間違いなさそうだ。
糖尿病患者の重症化を考えるとき、大切なのが「血糖値」だ。矢部大介・岐阜大教授(糖尿病・内分泌代謝内科学)は「ウイルスなどの『外敵』を攻撃する免疫細胞(好中球、単球、リンパ球)は、血糖値が高い状態が続くと機能が落ち、外敵を十分にたたけなくなる。さらに、高血糖状態の人は血液中に『血栓』ができやすく、血栓による心筋梗塞(こうそく)や脳卒中などが起きやすい。これらの要因から、慢性的な高血糖は、新型コロナの重症化を招きやすいと考えられる」と説明する。
英国での調査によると、血糖値が上がることによって、新型コロナによる死亡率が最大で2倍近く高くなった。糖尿病患者のうち腎臓の機能低下や心臓に合併症がある人(合併症になる人は血糖値が高い状態が続いていた可能性が高い)は、死亡率が高くなっていた。中国のデータでも、過去1~2カ月の平均の血糖の状態を示すHbA1cが6.5%以上の人は、6.5%未満の人よりも急性呼吸器症候群を起こしたり死亡したりする割合が高かった。
逆に、HbA1cを6~7%程度に抑えれば、…
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