実践!感染症講義 -命を救う5分の知識-

新型コロナ 高まるアジア人差別

谷口恭・太融寺町谷口医院院長
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アジア系住民へのヘイトクライムに抗議する集会で「差別主義者の暴力を止めよう」などと書かれたボードを持つ家族連れ=米西部カリフォルニア州ロサンゼルスで2021年3月13日、福永方人撮影
アジア系住民へのヘイトクライムに抗議する集会で「差別主義者の暴力を止めよう」などと書かれたボードを持つ家族連れ=米西部カリフォルニア州ロサンゼルスで2021年3月13日、福永方人撮影

 「アメリカ留学、やはり中止した方がいいでしょうか……」

 これは昨年(2020年)の春から夏にかけて、私が院長を務める太融寺町谷口医院(以下「谷口医院」)の患者さんから何度か聞くことになった言葉です。谷口医院は旅行医学(渡航医学)も担っているために、留学を予定している若い学生からの相談が毎年多数寄せられます。米国の場合、新しい学年は秋から始まります。1年ほど前から少しずつ準備を始め、留学に必要なワクチンなども済ませ、そして8月の終わりごろに渡米します。

 ところが昨年は新型コロナの影響で留学できなくなる恐れがでてきました。飛行機が飛び入国の許可が出たとしても留学先が予定通り受け入れてくれるのか、入学は認められたとしても対面式の授業が行われないなら単位はもらえるのか、といった問題もありましたが、留学予定者の最大の懸念事項は「日本人が差別の対象にならないか」ということでした。

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谷口恭

太融寺町谷口医院院長

たにぐち・やすし 1968年三重県上野市(現・伊賀市)生まれ。91年関西学院大学社会学部卒業。4年間の商社勤務を経た後、大阪市立大学医学部入学。研修医を終了後、タイ国のエイズホスピスで医療ボランティアに従事。同ホスピスでボランティア医師として活躍していた欧米の総合診療医(プライマリ・ケア医)に影響を受け、帰国後大阪市立大学医学部総合診療センターに所属。その後現職。大阪市立大学医学部附属病院総合診療センター非常勤講師、主にタイ国のエイズ孤児やエイズ患者を支援するNPO法人GINA(ジーナ)代表も務める。日本プライマリ・ケア連合学会指導医。日本医師会認定産業医。労働衛生コンサルタント。主な書籍に、「今そこにあるタイのエイズ日本のエイズ」(文芸社)、「偏差値40からの医学部再受験」(エール出版社)、「医学部六年間の真実」(エール出版社)など。太融寺町谷口医院ウェブサイト 無料メルマガ<谷口恭の「その質問にホンネで答えます」>を配信中。