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専門家に「イチ」から聞く新型コロナワクチン/下 ワクチンはだれのために受ける?

永山悦子・論説委員
国内でも接種が始まった米ファイザー社製の新型コロナウイルスのワクチン=金沢市沖町の地域医療機能推進機構・金沢病院で2021年2月19日午後2時42分(代表撮影)
国内でも接種が始まった米ファイザー社製の新型コロナウイルスのワクチン=金沢市沖町の地域医療機能推進機構・金沢病院で2021年2月19日午後2時42分(代表撮影)

 ウイルス学の大家、中山哲夫・北里大特任教授に、ワクチンについて「イチ」から聞くインタビューの2回目。ワクチンにはメリットも副反応もあるが、受けるかどうかをどのように判断すべきなのか。また、ワクチンを受けるのは自分のためか、それとも社会のためなのか。そして、ワクチンを含めた日本の感染症対策の行方について聞いた。【聞き手・永山悦子/医療プレミア編集部】

一人一人が判断して受ける

 ――日本人は長くワクチンを警戒し、積極的に受けようという人は多くありませんでした。最近も、HPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンの定期接種の積極的な勧奨が、副反応とみられる症状が相次いだため事実上中断されました。しかし、新型コロナウイルスのワクチンではその様子が変わってきているようです。

 ◆ワクチンは、一人一人が科学的に判断して受けるものです。今までは、ワクチンの悪い情報がはんらんしていましたが、新型コロナについては、ワクチンを受けずに感染する確率や死亡する確率を考え、ワクチンの有効性や副反応の割合を比べたとき、ワクチンの有効性が副反応を上回っていると考える人が増えてきたということでしょう。

 国が「ワクチンを受けなさい」と言っても、それだけで納得して受けられるものではありません。ワクチンについて科学的に理解し、そして選択することが大切なのです。

 ――医療従事者への先行接種で出ている(アレルギー反応の)アナフィラキシーなどの副反応は、どのように受け止めるべきでしょうか。

 ◆発症例が海外よりやや多いという分析もあり、もっと少ないに越したことはありません。しかし、従来のワクチンに比べて、許容できないような数字とはいえません。さらに、接種後に30分ほど様子を見ていることによって、重症化しないように対処できるものです。

 免疫が自己の組織を攻撃してしまう「自己免疫」のような症状も、他のワクチンでも起きうるものであり、起きている頻度もワクチン以外で発症しているケースと比べて高くなっているというわけではありません。

 普段あまり経験しない症状が出たとしても、一般の人たちの中で起きている現象と比べて頻度が高いのかどうかという視点で、冷静に判断することが求められます。そのためにもワクチン接種後の有害事象の監視は非常に大切です。

新しいタイプのワクチンの安全性は?

 ――すでに接種が開始されている遺伝子を使ったワクチン(ファイザー社などのメッセンジャーRNA<mRNA>ワクチンなど)は、これまで実用化されていなかったタイプのワクチンです。…

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論説委員

1991年入社。和歌山支局、前橋支局、科学環境部、オピニオングループ、医療プレミア編集長など経て、2022年4月から論説委員。2010年に小惑星探査機「はやぶさ」の地球帰還をオーストラリアの砂漠で取材し、はやぶさ2も計画段階から追いかける。ツイッターは、はやぶさ毎日(@mai_hayabusa)。好きなものは、旅と自然と山歩きとベラスケス。お酒はそこそこ。