現代フランス健康事情

ワクチンのマルチブッキングから見えた戸惑い

竹内真里・フランス在住ライター
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リヨンの街角を彩る八重桜らしき桜=筆者撮影
リヨンの街角を彩る八重桜らしき桜=筆者撮影

 春らしい天気が続いていた3月。エープリルフール前日の31日夜、マクロン大統領が、これまで一部の県で部分的に行われていた新型コロナウイルス対策の規制措置を4月5日から本土全体に拡大することを発表した。

 主な内容は、次のようなものだ。

 ▽午後7時から午前6時までの外出禁止

 ▽日中の移動は自宅から10キロ圏内であれば、制限時間はなく、外出証明書なしで可能

 ▽自宅から10キロを超える移動は証明書が必要

 ▽他の地域圏への移動は禁止

 ▽イベント、集会、会食など集まりを控える

 ▽1週間の休校、遠隔授業。幼稚園・小学校は復活祭休暇明けの4月下旬から登校、中学・高校は5月上旬より上限を設け通学再開

 ▽閉鎖が続くスポーツ・文化施設、レストランなど飲食店の営業再開は5月から夏にかけて検討中

 演説の中でマクロン大統領は、3月末日までに約850万人が1回目のワクチン接種を受け、2回目を受けた人は約300万人で、2回目を完了したおよそ2週間後から効果が出ると話した(フランスの人口は約6700万人)。現時点では、フランス国内ではファイザー、モデルナ、アストラゼネカに加え、ジョンソン・エンド・ジョンソン社のワクチンが承認されている。

 今後の見通しについて、4月半ばから60歳以上、5月半ばから50歳以上、6月半ば以降から18歳以上の人に対し、第1回目の予約受け付けを開始するとした。

加速するワクチン接種の裏で、こんな苦労も

 徐々にワクチン接種を受けられる場所が増え、3月中旬から薬局での接種もスタートしている。パリ郊外の薬局に勤めるコリヌさんは「ワクチンも入荷し、通常の業務に加え、以前から当薬局での接種を申し込んでいたウェーティングリストの記載者に電話をかけています。都合がつく人はいいのですが、何度かけても電話に出なかったり、メッセージを残しても折り返しがなかったりすることも多々あるので、調整が難しいです」と話す。

 ここしばらく、主に高齢者のワクチン接種について話を聞くうちに、一部の人の行動が、接種スケジュールの混乱を招いていたことが見えてきた。

 まず数カ所にワクチン接種を受けたいと「事前申し込み」をする。その中で一番早く予約が取れたところに…

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竹内真里

フランス在住ライター

1978年千葉県生まれ。2000年から2002年までフランス南部マルセイユに滞在。その後、東京や香港でライターとして取材・執筆に従事。2015年に再びフランスへ。現在はリヨン市内でフランス人の夫、娘と暮らしながら現地情報を発信している。