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新型コロナ 感染した人特有の不安とは

工藤千秋・くどうちあき脳神経外科クリニック院長
 
 

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19、以下、新型コロナ)の世界的パンデミックから1年以上が経過しました。ようやくワクチン接種が始まったものの、完全収束には時間がかかりそうです。

 そうした中で、私が日常的に診察している患者さんの中にはすでに感染した人もいますし、まだ感染していない患者さんの中には今後の感染の危険性について極度の不安を訴える人もいます。中には「感染して軽症で終わることが確実だったら、あらかじめ感染して免疫をつけておきたい」とまで言い出す人もいます。

 しかし、感染したから楽になるというものではありません。そもそも新型コロナは一部の人に倦怠(けんたい)感や味覚・嗅覚障害などの後遺症が数カ月にわたって続くことが分かっています。また、後遺症を免れたとしても、心理的な不安に押しつぶされそうになっている人は少なくありません。

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くどうちあき脳神経外科クリニック院長

くどう・ちあき 1958年長野県下諏訪町生まれ。英国バーミンガム大学、労働福祉事業団東京労災病院脳神経外科、鹿児島市立病院脳疾患救命救急センターなどで脳神経外科を学ぶ。89年、東京労災病院脳神経外科に勤務。同科副部長を務める。01年、東京都大田区に「くどうちあき脳神経外科クリニック」を開院。脳神経外科専門医であるとともに、認知症、高次脳機能障害、パーキンソン病、痛みの治療に情熱を傾け、心に迫る医療を施すことを信条とする。 漢方薬処方にも精通し、日本アロマセラピー学会認定医でもある。著書に「エビデンスに基づく認知症 補完療法へのアプローチ」(ぱーそん書房)、「サプリが命を躍動させるとき あきらめない!その頭痛とかくれ貧血」(文芸社)、「脳神経外科医が教える病気にならない神経クリーニング」(サンマーク出版)など。