実践!感染症講義 -命を救う5分の知識-

新型コロナ 不可避でも立ち向かうワクチン差別

谷口恭・太融寺町谷口医院院長
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新型コロナワクチンの接種を受ける看護師=京都市伏見区の国立病院機構京都医療センターで2021年2月19日午後1時1分、代表撮影
新型コロナワクチンの接種を受ける看護師=京都市伏見区の国立病院機構京都医療センターで2021年2月19日午後1時1分、代表撮影

 最近、ある患者さんから次のような相談を受けました(プライバシー確保の観点から詳細にアレンジを加えています)。

 患者さんは、以前から太融寺町谷口医院をかかりつけ医にしている30代の女性(仮に「Fさん」とします)で、職業は看護師です。幼少時からぜんそく、アトピー性皮膚炎など複数のアレルギー疾患を持っており、成人してからは複数の抗菌薬と鎮痛剤を使った際に薬疹(薬の副作用による皮膚の異常)が出現しました。Fさんは「新しい薬を用いるときには、副作用が出ないかいつも不安です」と言います。そして現在の悩みは「新型コロナウイルスのワクチン接種を受けたくない」というものです。

 因果関係がはっきりしない例も多いのですが、米ファイザー社製の新型コロナワクチン接種によるアナフィラキシー(重いアレルギー)の報告は、他の(新型コロナ以外の)ワクチンに比べると比較的多くあります。どのような人にアナフィラキシーのリスクがあるのかといえば、やはりアレルギーのエピソードがある人です。Fさんが心配になるのも当然です。受けたくなければ受けなくていいわけですが、「周囲の(受けるべきだという)…

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谷口恭

太融寺町谷口医院院長

たにぐち・やすし 1968年三重県上野市(現・伊賀市)生まれ。91年関西学院大学社会学部卒業。4年間の商社勤務を経た後、大阪市立大学医学部入学。研修医を終了後、タイ国のエイズホスピスで医療ボランティアに従事。同ホスピスでボランティア医師として活躍していた欧米の総合診療医(プライマリ・ケア医)に影響を受け、帰国後大阪市立大学医学部総合診療センターに所属。その後現職。大阪市立大学医学部附属病院総合診療センター非常勤講師、主にタイ国のエイズ孤児やエイズ患者を支援するNPO法人GINA(ジーナ)代表も務める。日本プライマリ・ケア連合学会指導医。日本医師会認定産業医。労働衛生コンサルタント。主な書籍に、「今そこにあるタイのエイズ日本のエイズ」(文芸社)、「偏差値40からの医学部再受験」(エール出版社)、「医学部六年間の真実」(エール出版社)など。太融寺町谷口医院ウェブサイト