ジソウのお仕事

自立援助ホームでひきこもる

青山さくら・児童相談支援専門職員
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 新任の児童福祉司Aさんを誘って、数日前に自立援助ホームを退所した(出奔した、と表現した方がいいかもしれない)Bさんの部屋の後片付けに行った。弁当の容器やペットボトル、汚れた下着まで散乱する部屋で、彼女はパン職人になることを夢見て、朝早くからパン屋さんで懸命に働いた。しかし給料をストリートミュージシャンに貢ぎ、勤務先の店主に借金までして、返すあてもなく逃げるようにホームを出た。児童養護施設で長く暮らしていた彼女が、施設の先輩のところにいるのはわかっていたので、残っている荷物は送ってあげようと思った。

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青山さくら

児童相談支援専門職員

「青山さくら」はペンネーム。複数の児童相談所で児童福祉司として勤務。「ジソウのお仕事」は隔月刊誌「くらしと教育をつなぐWe」(フェミックス)で2009年4月から連載。過去の連載の一部に、川松亮・明星大学常勤教授の解説を加えた「ジソウのお仕事―50の物語(ショートストーリー)で考える子ども虐待と児童相談所」(フェミックス)を20年1月刊行。【データ改訂版】を2021年3月に発行した。絵・中畝治子