Dr.中川のがんのひみつ

「口は災いのもと」? 歯周病とがんの深い関係

中川 恵一・東大大学院医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授
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 「プリティ・ウーマン」(1990年公開)という米国映画を覚えている人は多いでしょう。この中で、新米娼婦(しょうふ)役のジュリア・ロバーツさんが、超高級ホテルのスイートルームでこっそりデンタルフロスを使うシーンがあります。

 大富豪役のリチャード・ギアさんが麻薬と思って怒鳴りますが、隠したのはフロスと分かり、彼女を見直します。このころすでに、米国では口内衛生の重要性が広く知られていた証しと言えるでしょう。

 さて、口内を清潔にすることはがんの予防にも大いに役に立ちます。歯周病や虫歯は口内だけでなく、「口から先」の病気も大いに関係しているからです。米国では20年以上も前に、歯周病学会が「Floss or Die(フロスを選ぶか、死を選ぶか)」というスローガンを掲げているほどです。がんのほか、糖尿病、心臓病、認知症など多くの病気の遠因になっていることはかなり前から分かってきていました。

 愛知県がんセンター研究所の調査によると、1日に2回以上歯を磨く人は、1回の人と比べて、口の中や食道のがんにかかるリスクが…

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中川 恵一

東大大学院医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1985年東京大医学部卒。スイス Paul Sherrer Instituteへ客員研究員として留学後、同大医学部付属病院放射線科助手などを経て、2021年4月から同大大学院医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。同病院放射線治療部門長も兼任している。がん対策推進協議会の委員や、厚生労働省の委託事業「がん対策推進企業アクション」議長、がん教育検討委員会の委員などを務めた。著書に「ドクター中川の〝がんを知る〟」(毎日新聞出版)、「がん専門医が、がんになって分かった大切なこと」(海竜社)、「知っておきたい『がん講座』 リスクを減らす行動学」(日本経済新聞出版社)などがある。