健康をつくる栄養学のキホン

コロナ禍の「家飲み」で太らない栄養補給のコツ

成田崇信・管理栄養士
  • 文字
  • 印刷
 
 

 新型コロナウイルス感染予防のため、会食や店での飲酒の自粛が強く求められ、家でお酒を飲む機会が増えているのではないでしょうか。家で飲む場合には帰りの心配がなく、費用も安く済むためについつい飲み過ぎてしまうことも多いようです。運動不足も重なり、コロナ流行後に体重が増えてしまったという声をよく聞きます。

 アルコール飲料を飲むとなぜ太りやすいのでしょうか。栄養素としてのアルコールの特徴を解説し、健康的なお酒の飲み方を考えてみたいと思います。

「アルコールはエンプティーカロリー」の意味

 水やほとんどの栄養成分は小腸から吸収され体内に入りますが、アルコールは例外的に胃からも一部吸収され、残りは小腸から吸収されて全身に行き渡ります。清涼飲料水よりもお酒だと多量に飲むことができるのは、これが理由とされています。

 吸収されたアルコールは血中濃度が高くなると毒性を持つため、肝臓で分解され、無害化されます。アルコール脱水素酵素(ADH)によってアセトアルデヒドに酸化され、さらにアルデヒド脱水素酵素(ALDH)により酢酸に代謝されます。この酢酸が体内でエネルギーとして利用されます。酢酸は速やかに燃焼されるので、アルコールを飲んだ後に体が熱くなりやすいのはこのためです。

 栄養学では、アルコールは「エンプティーカロリー」と呼ばれることがあります。アルコールを飲んでもすぐに熱になるので、太らない空っぽのエネルギーと勘違いされることがあるようです。実際にはアルコールは1gあたり7.1kcalのエネルギーを持ち、欧州で実施された疫学調査(※1)からも、女性では顕著でないものの男性では酒量が増えるほど肥満度が高くなることが報告されており、太らないエネルギーというのは間違いです。エンプティーは、エネルギー以外の栄養素が空っぽということを意味します。

 アルコール摂取後の体は熱を発しやすくなり、体温維持のために体脂肪を燃やす必要があまりなくなるため、脂肪を蓄えやすい状態となります。お酒と一緒に糖質や脂質の多いおつまみを食べると太りやすいのはこのためです。

アルコールでトイレが近くなるのは

 アルコール飲料を飲むとトイレが近くなります。…

この記事は有料記事です。

残り1906文字(全文2816文字)

成田崇信

管理栄養士

なりた・たかのぶ 1975年東京生まれ。社会福祉法人で管理栄養士の仕事をするかたわら、主にブログ「とらねこ日誌」やSNSなどインターネット上で食と健康関連の情報を発信している。栄養学の妥当な知識に基づく食育書「新装版管理栄養士パパの親子の食育BOOK」(内外出版社)を執筆。共著に「各分野の専門家が伝える子どもを守るために知っておきたいこと」(メタモル出版)、監修として「子どもと野菜をなかよしにする図鑑 すごいぞ! やさいーズ」(オレンジページ)などに携わっている。