百寿者に学ぶ バランス健康術!

「もちもち肌」は維持できる?

米井嘉一・同志社大学教授
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加齢で硬くなる肌、その理由を知る

 赤ちゃんの肌に触れたことがありますか。「プリプリ」「もちもち」といった表現が似合いますよね。大人の肌にはない健康的な弾力性が感じられます。加齢に伴って、肌はだんだんと硬くなっていきます。それも皆が同じように硬くなるわけではありません。個人差があり、50歳、60歳と年齢を重ねていくと、個人差はますます広がってしまいます。今からでも遅くありません。弾力性を保っている方はそのままキープ、ちょっと硬めになってきたなと感じた人は、肌の弾力性の仕組みを知り、進行を食い止めるように努めましょう。

 前回も紹介した皮膚の老化度(「老化のサインはお肌から」参照)の測定によると、硬くなった肌は弾力性が低下しています。皮膚の弾力に基づく「もち肌年齢」が進んだ状態といえます。

 皮膚の弾力性を決定する要素として重要なたんぱく質の代表は、コラーゲンとエラスチンです。両者ともに加齢にともなって徐々に減っていきます。

 皮膚にはコラーゲン繊維が豊富に含まれ、乾燥重量の約70%を占めています。コラーゲン繊維は、肌を丈夫にするとともに、繊維がある程度自由に動くことによって、肌の張り具合を調節しています。硬くなった肌では、コラーゲンが減って、柔軟性が低下しています。

 エラスチンは、コラーゲンとともに体を構成するたんぱく質で、皮膚などの弾力性の維持にかかわっています。皮膚中のエラスチンは2%以下とわずかですが、その役割は重要です。皮膚のエラスチン含有量が減ると、たるみが目立つようになるのです。

 肌のたるみがひどくなった患者さんから相談を受けたことがあります。聞き取り調査の結果、食事からのたんぱく質の摂取が不足する状態が続いていたことがわかりました。たんぱく質摂取量を1日当たり10グラム増やした結果、たるみの具合は軽くなりました。肌のエラスチンが減ったことが原因だったのかもしれません。

 ちなみに、上の表にあるようにエラスチンとコラーゲンは他の臓器にも存在しています。皮膚のたんぱく質を守ることは、動脈壁など他の臓器の弾力性を守ることにもつながると考えられます。

糖尿病など糖化ストレスに注意

 では、どのような人の肌が硬くなりやすいのでしょうか?

 代表例は糖尿病です。糖尿病になると皮膚は硬くなります。図を見てください。糖尿病がない健常者(青い線)に比べて、糖尿病がある人(赤い線)は、皮膚の弾…

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米井嘉一

同志社大学教授

よねい・よしかず 1958年東京生まれ。慶応義塾大学医学部卒業、同大学大学院医学研究科内科学専攻博士課程修了後、米カリフォルニア大学ロサンゼルス校留学。89年に帰国し、日本鋼管病院(川崎市)内科、人間ドック脳ドック室部長などを歴任。2005年、日本初の抗加齢医学の研究講座、同志社大学アンチエイジングリサーチセンター教授に就任。08年から同大学大学院生命医科学研究科教授を兼任。日本抗加齢医学会理事、日本人間ドック学会評議員。医師として患者さんに「歳ですから仕方がないですね」という言葉を口にしたくない、という思いから、老化のメカニズムとその診断・治療法の研究を始める。現在は抗加齢医学研究の第一人者として、研究活動に従事しながら、研究成果を世界に発信している。最近の研究テーマは老化の危険因子と糖化ストレス。