ひなたぼっこする恩師の養老先生と、在りし日の愛猫「まる」
ひなたぼっこする恩師の養老先生と、在りし日の愛猫「まる」

 恩師の養老孟司先生(83)が重度の糖尿病から心筋梗塞(こうそく)を発症し、東大病院で治療を行った経緯を、共著「養老先生、病院へ行く」(エクスナレッジ)で紹介しました。先生の愛猫「まる」の死も語ったこの本は、発刊3カ月で7刷、6万部のベストセラーになっています。

 病院嫌いの養老先生を私が診ることになったのは、体重が15キロも減り、体調が悪いと私に相談があったことがきっかけでした。大幅な体重の減少と聞けば、がんか糖尿病をまず疑います。とくに養老先生はヘビースモーカーで有名ですから、まず、がんを疑って検査を行いましたが、問題はありませんでした。ちなみに、男性のがんの原因の3割程度が喫煙です。

 念のためにチェックした心電図で「無痛性」の心筋梗塞が見つかり、そのまま入院となりました。カテーテル治療とその後の糖尿病の治療によって、虫捕りもできるくらいに回復されています。体重もほぼ元通りにまで戻ったとのこと。教え子としては、うれしい限りです。

 さて、糖尿病も、がんも、病気が進行すると痩せますが、そのメカニズムは全くちがいます。糖尿病は…

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東大大学院医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1985年東京大医学部卒。スイス Paul Sherrer Instituteへ客員研究員として留学後、同大医学部付属病院放射線科助手などを経て、2021年4月から同大大学院医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。同病院放射線治療部門長も兼任している。がん対策推進協議会の委員や、厚生労働省の委託事業「がん対策推進企業アクション」議長、がん教育検討委員会の委員などを務めた。著書に「ドクター中川の〝がんを知る〟」(毎日新聞出版)、「がん専門医が、がんになって分かった大切なこと」(海竜社)、「知っておきたい『がん講座』 リスクを減らす行動学」(日本経済新聞出版社)などがある。