医療プレミア特集

外見悩むがん患者の支援へ人材育成 会社設立した女性の思い

鈴木敬子・毎日新聞 医療プレミア編集部
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がん患者向け美容サロン「セレナイト」を運営するさとう桜子さん。サロンを移転し、今月から新しい場所でスタートを切った=東京都品川区で2021年6月21日、鈴木敬子撮影
がん患者向け美容サロン「セレナイト」を運営するさとう桜子さん。サロンを移転し、今月から新しい場所でスタートを切った=東京都品川区で2021年6月21日、鈴木敬子撮影

 がん治療に伴って生じる脱毛や肌荒れなどに悩む人をサポートするアピアランス(外見)ケア。東京都内でがん患者向けの美容サロン「セレナイト」を運営しているさとう桜子さんが、がんを経験した人を美容の力でサポートできる人材を育てようと会社を設立した。きっかけは、がんと闘い、今年の年明けに旅立った一人の女性が残した企画書だった。自らもがん経験者のさとうさんに、新たな一歩を踏み出した理由とそこに込めた思いを聞いた。

がんの基礎知識をがん経験のある医療者から学ぶ

 国立がん研究センターによると、アピアランスケアとは「医学的・整容的・心理社会的支援を用いて、外見の変化を補完し、外見の変化に起因するがん患者の苦痛を軽減するケア」だ。具体的には、手術による傷痕や放射線治療による発赤、色素沈着などの皮膚の変化、化学療法による頭髪や眉毛などの脱毛――を美容の力でサポートする。

 セレナイトを訪れる患者は、「少しでも見た目を『元気』にして、がん患者である自分を隠したい」と希望する人が多いという。さとうさんは、アピアランスケアを「見た目をカムフラージュすることで、その人がその人らしく生き、社会とつながることをサポートすること」と考えている。

 さとうさんは6年前から、主に美容関係者を対象に、がん患者への接し方やメーク実技などをマンツーマンで伝える研修をセレナイトで開き、年1人の割合で卒業生を輩出してきた。この取り組みをさらに加速させようと、昨年の卒業生でがん化学療法看護認定看護師の資格をもつ田中康代さんとともに今春、「認定セラピスト」の養成を柱とする会社「makemerelax」(本社・東京都目黒区)を設立した。

 この会社の「セラピスト育成講座」は、がんの基礎知識やカウンセリング法などを学ぶ講義と、アピアランスメークの技術を習得する実践研修から構成される。今月から1期生の研修が始まり、講義は全国どこからでも参加できるよう、オンラインで実施する。

 がんに関する講義は、田中さんの他、がん経験を持つ医師や薬剤師など医療関係者が担当する。これまでさとうさんが全国各地で講演活動をする中で知り合った人たちだ。「セレナイトは第二の緩和病棟」。そう呼んでさとうさんの活動を支援してくれる医師もいる。

 美容関係者だけでなく、医療者にもアピアランスケアに…

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鈴木敬子

毎日新聞 医療プレミア編集部

すずき・けいこ 1984年茨城県生まれ。法政大卒。2007年毎日新聞社入社。岐阜支局、水戸支局、横浜支局などを経て、15年5月から医療プレミア編集部。