医療プレミア特集

乳幼児は「コロナより怖い」RSウイルス急増のわけ

鈴木敬子・毎日新聞 医療プレミア編集部
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 乳幼児に多く見られるRSウイルス(RSV=Respiratory Syncytial Virus)感染症が流行している。国立感染症研究所(感染研)によると、4日までの1週間に全国の約3000の小児科から報告された患者数は1万3024人で、前週より800人以上増えた。もともと秋から冬にかけて流行する感染症だが、数年ほど前から流行期が早まり、7~8月ごろから患者が増える傾向がみられていた。ところが、今年はさらに流行が早まったうえに重症化する人が増えている。「RSVは、乳幼児には新型コロナウイルスより怖い」。そう話す山岸敬幸・慶応大教授(小児科)に流行の要因や予防策などを聞いた。

 感染研などによると、RSV感染症はRSVを病原体とする急性呼吸器疾患だ。1歳までに半数以上、2歳までにほぼ100%の子どもがRSVに初感染するとされる。感染経路は、患者のせきやくしゃみなどによる飛沫(ひまつ)感染と、ウイルスの付着した手指やおもちゃなどを介する接触感染だ。感染後は、4~6日の潜伏期間を経て発熱や鼻水、せき、のどの痛みなどの症状が起き、初めて感染した乳幼児のうち20~30%が気管支炎や肺炎を起こすまで悪化するという。

 健康な乳幼児でも、重い呼吸器症状で入院が必要になることもある。早産児や先天性の心疾患、呼吸器疾患を持つ子ども、免疫不全やダウン症の子どもは特に重症化しやすく、細心の注意が必要だ。ワクチンや抗ウイルス薬はなく、かかってしまった場合は対症療法で症状を和らげていくしかない。

 一度感染しても一生続く「終生免疫」は獲得できず、何度か感染することがある。ただし、年齢が上がるとともに体力が増し、3歳以上の子どもは、鼻水やせきなどの軽い症状で済むことが多い。

 大人も感染するが、やはり軽い鼻風邪程度で済むことが多い。呼吸器に基礎疾患を持つ高齢者で肺炎を起こすことがあるが、健康な成人では通常は重症になることはない。

昨年流行がなかったことの反動で患者が急増

 感染研や東京都によると、今年は3月ごろから九州を中心に感染者が急増し、都もここ数年の傾向よりも2カ月ほど早い5月中旬以降、患者が増加している。

 慶応大病院(東京都新宿区)でも、…

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鈴木敬子

毎日新聞 医療プレミア編集部

すずき・けいこ 1984年茨城県生まれ。法政大卒。2007年毎日新聞社入社。岐阜支局、水戸支局、横浜支局などを経て、15年5月から医療プレミア編集部。