地域で暮らし続ける~日本とデンマークの現場から

コロナ禍の五輪 デンマーク国内の反応と注目競技

銭本隆行・日本医療大学認知症研究所研究員
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デンマークの港町には必ずヨットハーバーがある
デンマークの港町には必ずヨットハーバーがある

 東京オリンピック・パラリンピックが新型コロナウイルスにどのような影響を及ぼすのか、皆さん心配されていると思います。日本では新型コロナウイルスの感染者の増減に伴い、五輪の「開催」や「中止」について議論されてきました。一方、デンマークでは、東京五輪の中止を求める声が聞かれることは特にありませんでした。

 東京五輪の開催の可否については、日本における報道が伝えられることが中心で、声高な中止論についても決行論についても議論されることはまずありません。それよりも、コロナ禍において、デンマーク国内でどのようにスポーツを再開させていくのかが大きな関心事でした。特に、水泳や選手同士の接触があるスポーツは、ワクチン接種の状況をみながら、慎重に再開していきました。そして五輪に参加する選手が決まると、日本に渡航するまでに抗体ができるように、他の国民よりも先に大慌てでワクチンを接種しました。

「どのような状況に対しても、我々は万全の準備をするだけだ」

 日本国内で東京五輪の開催を巡る議論が過熱する中、デンマークの五輪関係者はこう話していました。その結果、今月に入って総勢111人の選手団が日本にやってきました。前回2016年のリオデジャネイロ五輪では120人でしたので、ほぼ変わらない陣容になりました。

デンマークはハンドボールの強豪国

 デンマークで盛んなスポーツは、…

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銭本隆行

日本医療大学認知症研究所研究員

ぜにもと・たかゆき 1968年広島市生まれ、福岡市育ち。51歳。早稲田大学政治経済学部在学中にヨーロッパを放浪。そのときにデンマークと出会う。大学卒業後、時事通信社、産経新聞社で、11年間の記者生活を送る。2006年にデンマークへ渡り、デンマーク独自の学校制度「国民高等学校」であるノアフュンス・ホイスコーレの短期研修部門「日欧文化交流学院」の学院長を務めた。全寮制の同校で知的障害者のデンマーク人らと共に暮らし、日本からの福祉、教育、医療分野に関する研修を受け入れながら、デンマークと日本との交流を行ってきた。2010年にオーデンセペダゴー大学で教鞭を執り、2013年にはデンマークの認知症コーディネーター教育を受けた。  2015年末に日本に帰国し、2016年3月に名古屋市の日本福祉大通信制大学院で認知症ケアシステムに関する修士号を取得し、同年、福岡市の精神障害者の生活訓練事業所の設立・運営に携わる。現在は札幌市の日本医療大学認知症研究所と名古屋市の日本福祉大学大学院博士後期課程に在籍しながら地域包括ケアシステムに関する研究を進めている。ノーマライゼーション理念の提唱者であるデンマーク人の故N.E.バンクミケルセンにちなむN.E.バンクミケルセン記念財団理事も務める。