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なぜ女性ホルモン「エストロゲン」が大切なのか

米井嘉一・同志社大学教授
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女性らしい体つきを保つホルモン

 今回は女性ホルモンの一つ、「エストロゲン」について解説したいと思います。

 エストロゲンは女性の卵巣で作られ、子宮などの女性器官を成熟させ、妊娠・出産の準備や女性らしい体つきを保つために大切なホルモンです。

 エストロゲンの分泌は、30歳代の後半から減ります。生理が止まる閉経期には、卵巣でのエストロゲン分泌は完全に停止します。日本人の平均的な閉経年齢は50歳といわれてきましたが、近年は2~3年伸びています。

 45歳から閉経までの期間は更年期と呼ばれ、エストロゲン分泌が急速に低下し、さまざまな身体症状が表れます。これが「更年期障害」で、ほてりやのぼせ、めまい、動悸(どうき)、イライラ感、疲労感、冷え性、肌の不調が代表的な症状です。肌の不調には、しみ(「しみの仕組みを徹底解説」参照)や弾力性の低下(「もちもち肌は維持できる?」参照)が関連します。

エストロゲン分泌を守る望ましい生活

 卵巣の機能を守るためには、20歳代、30歳代での生活習慣が重要です。40歳代になると卵巣機能に個人差が表れてきますが、体質や遺伝的素因の影響はたかだか2割程度とされます。残りは、環境や生活習慣が影響するのです。

 どんな環境や生活習慣が望ましいのでしょうか。

 まず「体育」として、運動不足を避けることです。特に、積極的にウオーキングをすることがおすすめです。骨盤腔(こつばんくう)や下半身の血流が増えます。「知育」として、過度な心身ストレスを避けることも大切です。ストレスが過剰になるとエストロゲン分泌が低下し、生理不順になったり、生理が止まってしまったりすることがあります。

 「食育」としては、お菓子の食べ過ぎ、過度の飲酒に注意が必要です。大豆や大豆食品を積極的に摂取することも心がけてください。

食事でイソフラボンを摂取しよう

 かつては日本人が欧米人に比べて乳がんや子宮体がんの発症率が低く、約4分の1から5分の1程度といわれていました。その理由として挙げられてきたのが、「日本人が枝豆や豆腐、みそ、しょうゆなど大豆食品を多く食べること」です。

 大豆には、女性ホルモンに構造が似ている「イソフラボン」が含まれています。大豆製品は古くから日本人の食生活と健康を支えてきた大切な食材です。さらに、大豆製品は食事として積極的に摂取しても、安全面で問題になることはほとんどありません。

 ただし、「大豆イソフラボン」をサプリメント(特に海外製品)として摂取する場合には、注意が必要です。

 欧米の人は日本人よりも食事からのイソフラボン摂取が少ないため、海外製のサプリメントにはかなり多めの推奨用量が記載されています。もともと大豆製品の摂取量が多い日本人が欧米人向け用量のサプリメントを使用すると、イソフラボン過剰になってしまうのです。

 私はイソフラボンを過剰摂取した若い男性(20歳…

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米井嘉一

同志社大学教授

よねい・よしかず 1958年東京生まれ。慶応義塾大学医学部卒業、同大学大学院医学研究科内科学専攻博士課程修了後、米カリフォルニア大学ロサンゼルス校留学。89年に帰国し、日本鋼管病院(川崎市)内科、人間ドック脳ドック室部長などを歴任。2005年、日本初の抗加齢医学の研究講座、同志社大学アンチエイジングリサーチセンター教授に就任。08年から同大学大学院生命医科学研究科教授を兼任。日本抗加齢医学会理事、日本人間ドック学会評議員。医師として患者さんに「歳ですから仕方がないですね」という言葉を口にしたくない、という思いから、老化のメカニズムとその診断・治療法の研究を始める。現在は抗加齢医学研究の第一人者として、研究活動に従事しながら、研究成果を世界に発信している。最近の研究テーマは老化の危険因子と糖化ストレス。