現代フランス健康事情

新型コロナ 食料品店でも「衛生パス」が必要に

竹内真里・フランス在住ライター
  • 文字
  • 印刷
森のレストランのテラス席でも、衛生パスが求められる=筆者撮影
森のレストランのテラス席でも、衛生パスが求められる=筆者撮影

 8月も後半に入り、夏休みも終盤だ。お昼時や夕飯の時間帯、どこからかおいしそうなバーベキューの匂いが漂い、笑い声が聞こえてくる。あちこちの家で家族や友人らが集まり、長時間にわたる食事やおしゃべりを楽しむ様子がうかがえる。深夜まで大音量の音楽をかけて集まる若者たちもいる。ここだけ抜き取れば、典型的なフランスの夏の一コマだ。バカンスに出かけていた人たちが帰ってきて、休暇の土産話に花が咲き、新学期に備えて気持ちも新たに……という時期なのだが、日常では奇妙なことが起きている。

パスの必要な場所がさらに拡大

 今月16日から、一部の主要なデパートや大型ショッピングモールなどで「衛生パス」導入が始まった。衛生パスは、新型コロナウイルス感染症のワクチンを接種していることや陰性を証明する。国によっては、「ワクチンパスポート」と呼ばれているものだ。客は入り口で係員に提示して、入店できる。出入り口や店内では、警官が「衛生パスのパトロール」をする姿も見られる。

 生活に欠かせないスーパーマーケットは衛生パスの対象外と思っていたのだが、そうではなかった。知事の判断によって、2万平方メートルに満たない店でも、衛生パスがなければ入れないところがでてきた。もちろん店側は、行政の命令に従っただけなので、店やそこで働く従業員を責めるのはお門違いだ。

 いつも行っているスーパーが、衛生パスがないと入れなくなる状態を想像してみてほしい。

 パリなどの大都市は、小規模のスーパーや商店などが建ち並び、週に数回の市場も出て、買い物先にさほど困らない。しかし、郊外や田舎に行くほど、町の中心部の商店は少なくなり、複数の店舗で構成される大型ショッピングモールが主な買い物先となる。

この記事は有料記事です。

残り2461文字(全文3183文字)

竹内真里

フランス在住ライター

1978年千葉県生まれ。2000年から2002年までフランス南部マルセイユに滞在。その後、東京や香港でライターとして取材・執筆に従事。2015年に再びフランスへ。現在はリヨン市内でフランス人の夫、娘と暮らしながら現地情報を発信している。