ジソウのお仕事

「死にたい子」を探して走り回る

青山さくら・児童相談支援専門職員
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 深夜2時、「189(イチハヤク)」に15歳だという女の子の声で「今から自殺する」と電話が入った。「189」は児童相談所虐待対応ダイヤル(無料)である。オペレーターはすぐ児童相談所(児相)の当番課長に電話。課長は管内の警察署に連絡した。応対した県警少年係の係長は「またですか。番号が非通知ですから調べようがない。警戒するように署員には言っておきますが」と、ため息交じりの返答だったようだ。

 このところ子どもの自死にかかわる通報が続いている。先週は、高校生の女の子と中学生の男の子が「いっしょに死ぬつもりで」県北部の山の中をさまよって、林道に座り込んでいるところを営林署の職員に発見された。先月は、マンションの5階から飛び降りて自殺を図った中学生が、植え込みに引っかかって、重傷だが奇跡的に助かるということもあった。

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青山さくら

児童相談支援専門職員

「青山さくら」はペンネーム。複数の児童相談所で児童福祉司として勤務した後退職し、現在は自治体などで子ども虐待関連の仕事をしている。「ジソウのお仕事」は隔月刊誌「くらしと教育をつなぐWe」(フェミックス)で2009年4月から連載。過去の連載の一部に、川松亮・明星大学常勤教授の解説を加えた「ジソウのお仕事―50の物語(ショートストーリー)で考える子ども虐待と児童相談所」(フェミックス)を20年1月刊行。【データ改訂版】を2021年3月に発行した。絵・中畝治子