百寿者に学ぶ バランス健康術!

秋、何かを始めてみませんか

米井嘉一・同志社大学教授
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 9月に入りました。季節は秋です。私の頭の中には「きたるべき冬に備える秋」というイメージが強く表れています。以前の連載「脂肪を味方にして長生きしよう」の中で、ことわざ「天高く馬肥ゆる秋」の話を紹介しました。秋には、「食欲の秋」「運動の秋」「収穫の秋」「学問の秋」など、いろいろあります。「さあ、何かが始まる」。そんな季節なのかもしれません。

「何もしない」は最悪

 アンチエイジングを実践する上で、一番いけないことは「何もしない」ことです。

 日がな一日、快適なソファにだらりと座って、テレビ見て、お菓子食べて、ビール飲んで、コミュニケーションもなく、だらだら過ごす生活。これを毎日続けていたら、自分で自分の老化スイッチを押してしまうようなものです。あっと言う間に、年老いてしまうでしょう。

 人間の体はうまくできています。使わない部位は退化して、そぎ落とされていきます。足があるのに歩かないでいると、足腰の筋肉が衰えます。筋肉量、筋力ともに低下していきます。

 40歳を過ぎると、日常生活だけでは筋肉量が年間1%ずつ減っていきます。70歳を過ぎると、4カ月で1%減ります。寝たきりになると2日で1%の割合で減少し、衰えが進みます。

 だらだら過ごしていると、骨からミネラル分が失われ、骨粗しょう症が進みます。サプリメントでカルシウムを補充するだけでは足りません。ウオーキングなどで骨に刺激を与えなければ、骨にミネラル分を沈着させて丈夫な骨を保つことができないのです。

 だらだら過ごしている時は、関節を動かすことがほとんどありません。関節の動く範囲を「可動域」と呼びます。動かさない関節の可動域はだんだん小さくなり、関節が固まっていきます。体が硬くなった状態です。

 「寝たきり状態」に向かってまっしぐらという、ぜひとも避けたい過ごし方です。

<健康の秋>健診を受けてますか?

 健康診断(健診)の効能はいくつもあります。病気になる前に体の異変を早めに見つけて、その病気が発症しないように…

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米井嘉一

同志社大学教授

よねい・よしかず 1958年東京生まれ。慶応義塾大学医学部卒業、同大学大学院医学研究科内科学専攻博士課程修了後、米カリフォルニア大学ロサンゼルス校留学。89年に帰国し、日本鋼管病院(川崎市)内科、人間ドック脳ドック室部長などを歴任。2005年、日本初の抗加齢医学の研究講座、同志社大学アンチエイジングリサーチセンター教授に就任。08年から同大学大学院生命医科学研究科教授を兼任。日本抗加齢医学会理事、日本人間ドック学会評議員。医師として患者さんに「歳ですから仕方がないですね」という言葉を口にしたくない、という思いから、老化のメカニズムとその診断・治療法の研究を始める。現在は抗加齢医学研究の第一人者として、研究活動に従事しながら、研究成果を世界に発信している。最近の研究テーマは老化の危険因子と糖化ストレス。