現代フランス健康事情

新型コロナ 「衛生パス」のある生活は幸せなのか

竹内真里・フランス在住ライター
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パリのサンラザール駅。ノルマンディー地方への電車が発着する。車内で衛生パスを確認される=筆者撮影
パリのサンラザール駅。ノルマンディー地方への電車が発着する。車内で衛生パスを確認される=筆者撮影

 長い夏休みが終わり、9月から学校も再開した。土曜日の「衛生パス(新型コロナウイルス感染症のワクチンを接種していることやコロナ陰性であることの証明書)反対抗議デモ」は今月4日で8週連続、200の都市で実施された。仏内務省の発表によると、延べおよそ14万人が参加したとされる。日本とフランスではいろいろと状況は異なり、単純な比較は難しいと思う。だが、衛生パスが導入され、ワクチン接種を強く推し進めるフランスの光景を今回も紹介したい。

社会的な場への参加にも衛生パス

 フランスの9月は日本の春のように、大人も子どもも習い事を始めたり、引っ越しなどを機に新天地で生活をスタートさせたりする人が多い時期だ。多くの市町村では9月初めに「アソシエーションフォーラム」と呼ばれるイベントが開催され、公民館などで文化活動やスポーツ、ボランティアなどさまざまな団体の活動が紹介される。市民はそれぞれのスタンドを回って、質問したり、申し込んだりする。地域社会に関わりを持つきっかけでもある。

 しかし、この催しに参加するにも衛生パスが必要だ。各カルチャーセンターなどで習い事をするにもパスなしではできず、文化的な活動や、社会的な集まりからはじかれてしまう。

 福祉活動を主とする協会のボランティアの一員、ロメオさん(20代)は「僕は衛生パスがないので参加しません。必要ならば、72時間有効の陰性証明を毎回取得して行けばいいのですが、どんな意味があるのでしょうか。パスがある人だけ集まる場では、感染者が出ないんでしょうか? ばかばかしいと思います」。

 アクセス可能な場所が制限されることは、興味がある活動ができなくなることや、社会や地域との交流の場が失われていくことにもつながる。

12~17歳のワクチンキャンペーン強化

 学校は予定通り、今月2日から新学年度がスタートした。対応は、感染状況によって、緑、黄、オレンジ、赤の4段階に色分けされる。赤が一番深刻な状況だ。新学期は黄色からスタートした。屋内ではマスク着用が求められる。一人でも感染者が出た場合、小学校は学級閉鎖、中・高校はワクチン接種済みの生徒のみ対面授業を続けるとした。

 通学に際し、現時点では衛生パスは必要ない。しかし、12歳以上はワクチン接種を強く勧められ、学校近辺や、学校によっては敷地内にワクチン接種会場が開設された。…

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竹内真里

フランス在住ライター

1978年千葉県生まれ。2000年から2002年までフランス南部マルセイユに滞在。その後、東京や香港でライターとして取材・執筆に従事。2015年に再びフランスへ。現在はリヨン市内でフランス人の夫、娘と暮らしながら現地情報を発信している。