医療プレミア特集

がん光免疫療法 国内の治療医が驚いた理由

永山悦子・医療プレミア編集部兼論説室
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光免疫療法に取り組む医師たち。薬剤を投与後し、20~28時間後に患部にレーザーで光を当てて、がん細胞を破壊する=楽天メディカルジャパン提供
光免疫療法に取り組む医師たち。薬剤を投与後し、20~28時間後に患部にレーザーで光を当てて、がん細胞を破壊する=楽天メディカルジャパン提供

 昨年9月、頭頸部(とうけいぶ)がん患者を対象に承認を受けた「光免疫療法」が、国内の医療機関で進められている。これまでに十数人の患者に実施され、大きなトラブルは起きていないという。3例の治療に当たった国立がん研究センター東病院(千葉県柏市)の林隆一副院長は「非常によく効き、効果が早く表れることに驚いた。現在は進行がんが対象だが、早期がんへの拡大も望まれる」と話す。

第一印象は「非常によく効くな」

 光免疫療法は、がんに結びつきやすい薬剤を投与し、患部に当てたレーザーの光に薬剤が反応することによって、がん細胞が破壊される新たな治療法。光免疫療法の薬剤とレーザーを当てる医療機器を開発、販売する「楽天メディカルジャパン」が今年8月、現状と今後の見通しを報告する記者会見を開き、会見に出席した林副院長が具体的な症例の経過を紹介した。

 口腔(こうくう)がんの50代男性は、手術と化学放射線療法を受けたものの左下あごに再発し、東病院へ紹介されてきたという。来院したときのがんは5センチほどの大きさがあり、痛みを伴って口が開けにくい状態だった。

 今年1月に1回目の光免疫療法を受けた。大きながんだったため、がんに管を挿し、その中にレーザーを発する器具を入れて光を当てた。すると、4日目に患部の皮膚が黒く変化し、3週間後にはがん細胞が大量に壊死し、患部はくぼんだ状態になった。しかし、一部のがんが残ったため、4月に2回目の治療を受け、現在は良好な状態という。光免疫療法は、1回の治療で完全に治らないときは、4週間をあけて最大4回まで治療ができる。

 林副院長は「治療をした第一印象は『非常によく効くな』というものだった。…

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永山悦子

医療プレミア編集部兼論説室

1991年入社。和歌山支局、前橋支局、科学環境部、オピニオングループなどを経て、2021年4月から医療プレミア編集長兼論説室。2010年に小惑星探査機「はやぶさ」の地球帰還をオーストラリアの砂漠で取材した。はやぶさ2も計画段階から追いかける。ツイッターは、はやぶさ毎日(@mai_hayabusa)。医療分野では、がん医療や生命科学の取材を続ける。好きなものは、旅と自然と山歩きとベラスケス。お酒はそこそこ。