
2021年9月に入って、「次の冬にインフルエンザは流行するのか?」という質問が多くなっています。新型コロナウイルスの感染が拡大した20~21年の冬は、日本だけでなく世界全体でインフルエンザがほとんど流行しませんでした。インフルエンザは長年にわたり冬に流行してきた感染症ですが、新型コロナはその流行にも影響を及ぼしたのです。そして、流行しなかった原因を検討していくと、インフルエンザが毎年冬に流行するメカニズムが明らかになってきます。実は、インフルエンザの世界的流行は、コロンブスの新大陸到達にも関係していたのです。今回はインフルエンザ流行のメカニズムを解き明かしながら、次の冬の状況を予想してみます。
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東京医科大学特任教授
はまだ・あつお 1981年、東京慈恵会医科大学卒業。84~86年に米国Case Western Reserve大学に留学し、熱帯感染症学と渡航医学を修得する。帰国後、東京慈恵会医科大学・熱帯医学教室講師を経て、2005年9月~10年3月は労働者健康福祉機構・海外勤務健康管理センター所長代理を務めた。10年7月から東京医科大学教授、東京医科大学病院渡航者医療センター部長に就任。海外勤務者や海外旅行者の診療にあたりながら、国や東京都などの感染症対策事業に携わる。11年8月~16年7月には日本渡航医学会理事長を務めた。著書に「旅と病の三千年史」(文春新書)、「世界一病気に狙われている日本人」(講談社+α新書)、「歴史を変えた旅と病」(講談社+α文庫)、「新疫病流行記」(バジリコ)、「海外健康生活Q&A」(経団連出版)など。19年3月まで「旅と病の歴史地図」を執筆した。
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