実践!感染症講義 -命を救う5分の知識-

新型コロナ 中和抗体検査の利点と欠点

谷口恭・太融寺町谷口医院院長
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緊急事態宣言が解除されて迎えた初の週末、多くの人でにぎわう道頓堀=大阪市中央区で2021年10月2日午後3時45分、木葉健二撮影
緊急事態宣言が解除されて迎えた初の週末、多くの人でにぎわう道頓堀=大阪市中央区で2021年10月2日午後3時45分、木葉健二撮影

 新型コロナウイルスが流行し出してまだ数カ月しかたっていなかった2020年の春に「抗体検査を受ければ感染の有無が分かる」という誤った情報が流布しました。そのため、私はいろんなところで「抗体検査は無意味で無駄」と言い続け、本サイトでも繰り返しそれを主張しました(たとえば、20年5月26日「新型コロナ 有料の抗体検査は『無駄』」)。残念なことに、(おそらくお金もうけのために)その意味のない検査を受けるよう勧めていた医療機関もあったと聞きます。

 その後感染者が増え、ワクチンが普及した現在、ウイルスが持つ「スパイクたんぱく」に対する抗体(以下「S抗体」とします)の定量検査(数値が分かる検査)を希望する人が増えています。この検査は上述した20年の春にはやった抗体検査とは異なり、有用な検査なのは事実です。

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谷口恭

太融寺町谷口医院院長

たにぐち・やすし 1968年三重県上野市(現・伊賀市)生まれ。91年関西学院大学社会学部卒業。4年間の商社勤務を経た後、大阪市立大学医学部入学。研修医を終了後、タイ国のエイズホスピスで医療ボランティアに従事。同ホスピスでボランティア医師として活躍していた欧米の総合診療医(プライマリ・ケア医)に影響を受け、帰国後大阪市立大学医学部総合診療センターに所属。その後現職。大阪市立大学医学部附属病院総合診療センター非常勤講師、主にタイ国のエイズ孤児やエイズ患者を支援するNPO法人GINA(ジーナ)代表も務める。日本プライマリ・ケア連合学会指導医。日本医師会認定産業医。労働衛生コンサルタント。主な書籍に、「今そこにあるタイのエイズ日本のエイズ」(文芸社)、「偏差値40からの医学部再受験」(エール出版社)、「医学部六年間の真実」(エール出版社)など。太融寺町谷口医院ウェブサイト 無料メルマガ<谷口恭の「その質問にホンネで答えます」>を配信中。