医療プレミア特集

若くて病気がある人のワクチン接種遅らせないで がん患者の訴え

鈴木敬子・毎日新聞 医療プレミア編集部
  • 文字
  • 印刷
 
 

 接種が進む新型コロナウイルスワクチン。14日までに日本の全人口の6割以上が2回目の接種を終え、3回目の接種に向けた議論が始まっている。ワクチン接種には順番があり、基礎疾患のある人は医療従事者、高齢者に続き、優先的に接種できるはずだが、これまでの接種では自治体によって「優先」の方法が異なり、結果的に若年層の基礎疾患者の接種順が後回しになることがあった。こうした現状を変えようと、名古屋市ではがん患者が中心となり、市を動かした。追加接種の準備が進む中、「若い基礎疾患者の接種が遅れることのないようにしてほしい」と訴えている。

 国が今年2月に示したワクチン接種順位の考え方によると、(1)医療従事者(2)65歳以上の高齢者(3)64歳以下で基礎疾患のある人、高齢者施設の従事者――の順で接種し、その後、それ以外の人に対して順次接種するとしていた。

 (3)の具体的な基礎疾患として「慢性の呼吸器の病気」「慢性の心臓病(高血圧を含む)」「免疫の機能が低下する病気(治療中の悪性腫瘍を含む)」など14の病気を挙げ、これらの病気で通院・入院中、または体格指数(BMI)30以上の肥満の人を対象とした。重症化リスクの高い人を優先するためで、基礎疾患のある人を把握するのに、多くの自治体では自己申告を受け付けた。

年齢区分の中での「優先」はあるものの……

 名古屋市の場合、当初のスケジュールでは、基礎疾患のある人に対しても、基礎疾患のない人と一緒に年齢の高い方から接種券が発送され、接種券が手元に届けば、その年齢区分の中では基礎疾患のある人が先に予約することができた。難病患者と障害者は優先して接種券が発送されたり、接種券の発送時期が前倒しされたりしたものの、それ以外の基礎疾患を持つ人は年齢順で送られてくる接種券を待つしかなかった。つまり、同じ年齢層の人たちの間では優先されたものの、「60歳で基礎疾患のない人」と「20歳で基礎疾患のある人」では、前者が先行して接種できる仕組みだったのだ。

 こうした現状に疑問を持ったのが、名古屋市のがん患者、加藤那津さん(43)だ。加藤さんは31歳だった2009年に乳がんを発症し、4年後に再発。16年には肝臓への転移でステージ4となり、19年には骨への転移が分かった。現在は月3回通院しながら分子標的薬による…

この記事は有料記事です。

残り1877文字(全文2843文字)

鈴木敬子

毎日新聞 医療プレミア編集部

すずき・けいこ 1984年茨城県生まれ。法政大卒。2007年毎日新聞社入社。岐阜支局、水戸支局、横浜支局などを経て、15年5月から医療プレミア編集部。